『めおと日和』“瀧昌さま”だけじゃない! 本田響矢の“振り幅”を堪能できる必見作5選

 『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)が最終回を迎えた。昭和初期を舞台に、恋に不慣れな男女が結婚生活の中で少しずつ心を通わせていく――。その静かで優しい物語は、まるで日常にそっと寄り添う湯たんぽのように、観る者の心をじんわりと温めてくれた。

 中でも、物語の核となったのは帝国海軍中尉・江端瀧昌を演じた本田響矢の存在だ。無口で不器用、でも誰よりも誠実で、そっと差し出される手や小さく交わされる言葉に、彼の内なる優しさが宿っていた。いわゆる“胸キュン”でも“トキメキ”でもないが、どうしようもなく惹かれてしまう。そんな瀧昌さまに出会ってしまったことが、いま多くの人が感じている“ロス”の正体なのだろう。そんな方に向けて今回は、“瀧昌さまロス”を癒してくれる本田響矢の代表作を紹介したい。

『すぱいす。』

『すぱいす。』4/17(木)4話 ″手羽元のスパイス梅干しカレー″販売も客足は伸びず…自分の存在意義に悩む祐樹が起死回生の一手!

 瀧昌の寡黙さが心に残った人にこそ、最初に観てほしいのが『すぱいす。』(BS-TBS)である。キッチンカーを営む青年・北野祐樹を演じた本田は、底抜けに明るく、誰に対しても分け隔てなく話しかけるいわば“陽キャ”な存在。笑顔を絶やさず、テンポよく会話を運ぶその姿は、もはや別人だった。

 演技の幅を見せるという意味でも、まさに瀧昌とのギャップを象徴する1作であるが、驚かされるのはそのテンションの高さだけではない。彼のまとう空気感は、見る人を安心させるもので、役が変わってもにじみ出るものなのだ。瀧昌が沈黙の中で示したやさしさを、祐樹は言葉と笑顔で表現している。ただ明るいだけではない、根っこの誠実さを感じる人物だった。“瀧昌さまロス”にもぴったりな心休まる本田の存在感をぜひ堪能してほしい。

『青春シンデレラ』

【久間田琳加主演】10月スタート新ドラマ『青春シンデレラ』ロングPR

 『青春シンデレラ』(ABCテレビ・tvk)では、本田はヒロインの初恋相手・長谷川颯真を演じている。ルックスの良さから注目を集めるクールな高校生という役どころだが、その内側には、照れ隠しと優しさが混じった繊細な感情が詰まっている。まっすぐに想いを伝えることができずにそっけない態度をとってしまうが、時折見せる眼差しや、何気ない一言に不器用ながらも優しさがにじみ出ている。

 そこには瀧昌がなつ美に向けた気遣いや、言葉にならない思いやりと重ね合わせたくなる。昭和の軍人と令和の高校生。立場も時代も異なっていても、大切な人へ向ける優しさは、時代を超えて変わらないものがあることを教えてくれる。

『私は整形美人』

ドラマ「私は整形美人」5・6話予告編

 『私は整形美人』(フジテレビ)で演じた坂口慧は、学園内でも一目置かれるクールな存在。整った容姿と落ち着いた物腰で周囲から注目を集めるが、どこか心の壁を感じさせる佇まいが印象的だ。常に冷静で、必要以上に感情を表に出さず、周囲とも一定の距離を保っている。だが、その静けさの裏には、恋愛への不慣れさや、自分自身への不確かさといった、思春期特有の葛藤が色濃くにじんでいる。

 特に印象的なのは、ヒロインの片桐美玲(石井杏奈)が心の内を吐露するシーン。周囲との関係に悩み、自分の存在意義に揺れる彼女に対し、坂口はあえて多くを語らない。ただ隣にいて、少しうつむきながら、ぽつりとこぼす一言。それが、説明や慰めよりもずっと深く、相手の心に寄り添っていく。本田はこの役でも、目線や呼吸の機微を丁寧に使い分けながら、内に秘めた感情を少しずつ滲ませていた。

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