綾瀬はるかが考える“自分らしさ”といつか来る日への思い 「笑って最期を迎えるのが理想」
「自分のお花をいつも満開に咲かせておけば、それだけで十分」
――綾瀬さんは今年でデビュー25周年を迎えられますが、20代、30代の頃と比べて仕事への向き合い方は変わりましたか?
綾瀬:特に変わっていないと思います。ただ20代、30代の頃はつい周りと比較して、「これくらいできてなきゃ」って自分にハードルを課してしまうこともあったんですが、そういう完璧主義な考え方は少しずつ手放せるようになってきました。作品も生きものなので、正解はないですからね。もちろん、違う誰かになるのはすごくエネルギーがいることですが、揺らぎも受け入れて、以前より素直に楽しめるようになった気がします。特に今回はコメディで、役柄も明るいので演じていてすごく楽しかったです。
――この作品に出演が決まった際、「『ひとりでしにたい』というタイトルは自分らしくありたいという思いを感じました」とコメントされていたのが印象的でした。綾瀬さんにとっての“自分らしさ”とは何でしょう?
綾瀬:私はあまり“自分らしさ”がよく分っていないんですが、いつも自然体でいたいので、自分の気持ちは素直に伝えるようにしています。一番幸せだなと思うのも、何でも話せる人と美味しいご飯を食べて、大笑いしている瞬間です。撮影現場でご一緒する方々と、作品をより良くするために本音を交わしている時間にも幸せを感じます。
――綾瀬さんは柔らかい雰囲気を持ちながらも、どこかブレない芯の強さを持っている方だなと思います。そんな綾瀬さんでも、鳴海のように世間の声に流されて、自分を見失いそうになる瞬間はありますか?
綾瀬:私も鳴海と同じ30代半ばで、初めて死を意識したんです。ちょうど身近な人を亡くしたタイミングだったと思います。「本当にいつか死んだ」と思ったら、「私、このまま一人で死んでいくの?」という不安が一気に押し寄せてきました。そういう時って、鳴海のように焦って自分を見失っちゃうものなんですよね。でも突然ハッと、「あれ? こんなことがしたいわけじゃなかったのに」って気づくみたいな。そんな時期が私にもあったので、鳴海には共感する部分が多々あります。特に「若いころ“自由”と思っていたものは、歳をとると“孤独”と“不安”に変わってしまうんだ」という台詞はあの頃の自分が感じていたモヤモヤの正体を言語化してくれていて、「やっぱりそうだよね」と深く頷きました。
――自分を見失いそうになった時はどうすればいいと思いますか?
綾瀬:やっぱり周りと比べないことが大事だと思います。自分のお花をいつも満開に咲かせておけば、それだけで十分。私は「あー楽しかった! ははは!」って笑って最期を迎えるのが理想なので、そのためにも自分と周りを大事にしながら、常に今を楽しもうと思います。
――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
綾瀬:私はこの作品に出演して、死を怖いものではなく自然の摂理として受け入れることで、今を目一杯楽しんで、よりよく人生を生きていこうと思えるようになりました。たくさん笑った後にちょっと前向きになれて、心が温かくなる。そんなドラマに仕上がっているので、ぜひ楽しみにしていてください!
■放送情報
土曜ドラマ 『ひとりでしにたい』
NHK総合にて、6月21日(土)スタート 毎週土曜22:00〜22:45放送(全6回)
出演:綾瀬はるか、佐野勇斗、山口紗弥加、小関裕太、恒松祐里、満島真之介、國村隼、松坂慶子
原作:カレー沢薫『ひとりでしにたい』
脚本:大森美香
音楽:パスカルズ
主題歌:椎名林檎「芒に月」
制作統括:高城朝子(テレビマンユニオン)、尾崎裕和(NHK)
演出:石井永二、熊坂出、小林直希(テレビマンユニオン)
写真提供=NHK