高橋文哉、北村匠海からの「文哉」呼びに「キュンとしました(笑)」 『あんぱん』撮影秘話
NHK連続テレビ小説『あんぱん』に出演している高橋文哉のインタビューコメントが公開された。
朝ドラ第112作目となる本作は、『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと小松暢の夫婦をモデルとした勇気の物語。実在の人物である2人をモデルとするが、登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描かれる。脚本は、NHK連続テレビ小説『花子とアン』、NHK大河ドラマ『西郷どん』などを手がけた中園ミホが担当する。
高橋が演じているのは、嵩(北村匠海)の東京高等芸術学校時代の同級生・辛島健太郎。若い頃に友人がいなかった嵩にとっての真の友人。嵩より先に出征していたが、小倉連隊で再会する。
高橋は本作が初の朝ドラ出演。ずっと目標のひとつだったようで、「出演させていただくことができてすごくうれしいです」と喜びを語り、多くの反響が届いていることも明かした。
「バラエティー番組でご一緒させていただいている先輩も見てくださっているようで、会うたびに『あんぱん焼いてる?』と言われて、『僕、焼かないんです』というくだりを毎週やっています(笑)」
高橋は健太郎を演じるにあたり、どんなことを意識しているのだろうか。
「皆さんにまっすぐで素直な男の子を想像してもらったときに、そのど真ん中にいるのが健太郎だと思っています。方言のおかげもあり、かわいらしさが前面に出るキャラクターなので、あざとくなりすぎないように意識して演じています」
健太郎は九州・福岡出身。博多ことばに関しては「難しいです」と語る。
「最初は台本を読んでいても、何を言っているのか分からなくて、脳と舌が追いつかない状態でした。今はやっと、文字を読むと音が頭の中に出てくるようになってきた感じです。ただ、お芝居に気持ちが乗ると、方言が飛んでしまうことがあって。博多ことばは語尾が上がることが多いのですが、悲しくて音としては下げて言いたいときに、上げないといけない場面があると難しくて……。そういうときは、方言指導の先生が別の言い方を提案してくださるので、安心感がありますし、いつも助けていただいています。
健太郎はギターを弾くこともできる。メイコ(原菜乃華)とのシーンも印象に残っているようだ。
「健太郎のギターに合わせてメイコちゃんが歌うシーンは、原さんの透き通るような歌声が印象的でした。この二人にしか作れない、キラキラした空気を届けたいと思いながらやっていました。また、初めて二人でお芝居をしたのが、のらくろに似ていると言うシーンだったので、そこも思い入れの強い場面です。健太郎を演じる上で、わざとらしくならないように、距離を近づける理由をたくさん探して。のらくろの顔を思い出しながらメイコちゃんの顔をじーっと見ているのですが、メイコちゃんからすると見つめられているように感じるというのが、すれ違いコントのような恋だなと思います(笑)」
第10週では健太郎に赤紙が届き、第11週と第12週では戦争シーンが描かれた。
「嵩と二人でカレーを食べながら、赤紙が来たことを報告するシーンは、僕としても初めて見る健太郎だなと思いました。嵩と積み重ねてきた思い出があるからこそ、彼にむかって赤紙という言葉を口にするのがすごく苦しかったですし、カレーの味がしなかったことを今でも覚えています。今後の健太郎の人生においても、すごく記憶に残る日になるんだろうなと思いました。戦争のシーンは、撮影しながらも、これが実際に起きていたのだということに、どうしても現実味が感じられませんでした。しかし、それでも自分がお芝居で体感して演じなくてはいけないので、大きな責任があるなと思っています。事前に、当時の戦争について記されている本を監修の方からいただいて。文面だけでは理解できないことは、聞いたり、自分で調べたりして臨みました。上の立場の人から手をあげられることがたくさんあったそうで、お芝居の中でも目上の人と接するときには、緊張感を持って身構えていました。戦争のシーンでは、常に背筋が伸びていた感覚があります。元々、健太郎を演じる上で、福岡から東京に出て来た子の雰囲気が出せればいいなと思い、5キロくらい増やしていたのですが、戦争のシーンに向けて1週間で5キロ落としました。戦争中は芋を1日に1本しか食べられなかったとお聞きして、そこから自分も、干し芋を1日1枚食べるという生活を3日くらいやっていました。あとは乾パンを食べてみるなど、なるべくできるところはやろうといった気持ちでしたね」
また、健太郎と名コンビとなっている嵩を演じる北村匠海については、「本当に出会えてよかった」と絶賛した。
「嵩は、健太郎にないものを持っていて。全然似ていないのに、ずっと一緒にいられる、落ち着ける人です。嵩に対する健太郎の言動は、全部にちゃんと愛があると思っていて。嵩が下を向いたときには、上を向けるように、あごをクイッとあげるのが健太郎なのかなと。お互いに高め合える二人だと思いますし、成長して変化もあるかもしれませんが、それでも変わらない二人でありたいなと思っています。北村さんは、本当にやさしくて包容力のある方です。最初に人見知りしていた僕に、ふと『文哉はさぁ』と名前で呼んでくださって、キュンとしました(笑)。お互いに料理をするので、料理の話題で盛り上がったり、すごく仲良くしていただいて。『あんぱん』からたくさんの影響をもらっていますが、なかでも北村さんとの出会いはすごく大きいです。お芝居への意識や現場でのたたずまいなど、いろいろなことを学ばせていただいているので、本当に出会えてよかったなと思います」
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、志田彩良、二宮和也、瀧内公美、山寺宏一、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、阿部サダヲ、妻夫木聡、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK