宮沢氷魚、好青年から“毒”も備えたプリンスに変貌 『べらぼう』田沼意知もハマり役に
本作では、何でも自分の感覚で物事を強引に進める父を反面教師にするほど仕事で経験も積み、松前藩を調べるために冷静に調査を進め、本名を隠して吉原にも通う意知を演じる宮沢氷魚。自称吉原一の二枚目好みの誰袖花魁(福原遥)にひと目惚れされて、誰袖は頼まれてもいないのに危ない役を買ってでた。
自分の意志をしっかりと持ち、振袖新造と呼ばれる女郎見習いの頃から誰袖は蔦重への恋心全開だった。蔦重が身請けしてくれそうもないので、上品で魅力的な意知に夢を叶えてもらうべく本気で作戦を練りはじめるという切り替えの早さも彼女らしい。天真爛漫で笑顔がかわいらしい誰袖だが、頭が良くて、自分が置かれた世界の厳しい現実も知っている。松前藩の抜荷の証拠が見つからないなら、松前藩主の弟・松前廣年(ひょうろく)に抜荷とやらをやらせては? こちらが儲かる抜荷商いを持ちかければ乗ってくるのではありんせんか? と身請けを条件に危険な話を進めてくる。
これはそなたが思うより、ずっときな臭い話だという意知に対して、誰袖は「ここは日々が戦にござりんすよ? 騙し合い、駆け引き、修羅場、わっちの日々はきな臭いことだらけにござりんす」と言う。吉原の世界から解放されることをひたすらに願って生きてきた彼女だから、目の前に凛々しい田沼家のプリンス・意知が現れたらこれまで蓄積してきた情報と知識を活用せずにはいられないのかもしれない。
強かで、情熱的で、修羅場を生きている誰袖に本名を明かし、「見事、抜荷の証しを立てられた暁にはそなたを落籍いたそう」とクールな表情で約束した意知。いろいろなタイプの男を嫌というほど見てきた誰袖をこんな笑顔にさせるのは、癒し系かつ爽やかだけど、毒がないわけでもない、宮沢氷魚のようなむしろ色気が毒にもなるタイプなのかもしれない。とはいえ、身請けの話はすんなり決まったけれど、2人の近い未来を考えると……。
■放送情報
大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送/翌週土曜13:05~再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00~放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15~放送/毎週日曜18:00~再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK