『あいつは黒炎竜』『弱いヒーロー』で注目集める期待の若手 チェ・ヒョヌクが放つ存在感
チェ・ヒョヌクが存在感を放っている。現在、U-NEXTで配信中のムン・ガヨンとのダブル主演作『あいつは黒炎竜』(2025年)では、財閥3世となるヨンソン百貨店の本部長パン・ジュヨン(チェ・ヒョヌク)役を演じ、部下で仕事がデキるペク・スジョン(ムン・ガヨン)との恋にキュンとさせられるオフィスロマンスが話題を呼んでいる。
ジュヨンは、限定版やサイン本を集めるほど漫画が好きで、ハードロックを愛聴してロッカーのようないでたちでこっそり行くライブハウスで盛り上がり、ゲームにも詳しく、会社のパソコンのパスワードを「おれはあくまだ」という日本語に設定しているオタク気質のキャラクター。しかし、日頃はその個性を封印している。
幼い頃、不慮の事故でヨンソン百貨店の後継者だった父と母と同乗していた車が事故に遭い、祖母から逆恨みされ、厳しく育てられた。ジュヨンは後継者候補として相応しい振る舞いを強いられてきたこともあり、オタクである事実を隠し続け、自分だけの趣味を満喫するための秘密の部屋を隠し持って、なんとか心を壊さないように生きてきたのだ。
そんなジュヨンは、2000年代初頭のオンラインゲームで「黒炎竜」と名乗り、同じく「イチゴ」と名乗っていたスジョンとかつてゲームで意気投合していた。年上好きなスジョンは、ゲーム内で年上だと聞いていた黒炎竜が、オフ会で実際に会ってみると、ロッカーの服装に身を包んだ5歳年下の中学生の男の子だったことに騙されたと感じ落胆。ジュヨンはスジョンに告白して、思い切り振られた過去がある。この出来事を自身の“黒歴史”としたスジョン。
大人になって、偶然にも職場の上司と部下として再会。当時本名を明かしていなかったこともあり、お互いが昔ゲームをした相手だとは気付かないまま、距離が縮まっていくというストーリーだ。チェ・ヒョヌクは、ここのところ高校生役が続き、学生服姿に見慣れていることもあって、子役から活躍しているムン・ガヨンとスーツ姿でクールに織り成すラブシーンは新鮮だった。とはいえ、御曹司の役はまだそこまでしっくりくる感じではないところもあるのだが、ヒロインより年下の設定で、実際にも年上のムン・ガヨンとのロマンスはさらりと爽やかである。
ここでチェ・ヒョヌクについて振り返ってみたい。2002年1月30日生まれの今年23歳。短髪でサッパリとした印象が強く、181cmと大柄で、一重の大きな瞳が特徴的。小学生から高校1年生まで野球をしていたが怪我のため野球をやめて、俳優を志すようになる。2019年、高校生の恋愛模様を綴る主演ウェブドラマ『リアル:タイム:ラブ』(2019年~2020年)でデビュー。シーズン1から4の全シーズンにムン・イェチャン役として登場し、幼なじみの平凡な女子高生との学園ラブコメディを展開。まだ線が細く、現役高校生そのままにキスシーンも初々しいチェ・ヒョヌクだった。
2021年、イ・ジェフン主演の復讐劇『復讐代行人 ~模範タクシー~』の非行少年役で地上波ドラマデビュー。同年、スポーツドラマ『ラケット少年団』でヒップホップ好きな中学生役を演じ、野球といえどスポーツ経験が活かされたキレのあるバドミントン姿を披露。この2作でSBS演技大賞の男性新人賞を受賞した。
チェ・ヒョヌクが日本でより脚光を浴びたのは、若者たちの挑戦と成長を描いた『二十五、二十一』(2022年)で、キム・テリが演じるフェンシングに打ち込む主人公ナ・ヒドのクラスメイトとなるムン・ジウン役だろう。ヒドも憧れている同じフェンシング部で韓国代表選手の金メダリスト、コ・ユリム(ボナ/宇宙少女)に一途に恋するジウン。両想いになってからのキュートなデートシーンは微笑ましく、ヒドとペク・イジン(ナム・ジュヒョク)の関係とともに、ジウンとユリムの関係にもときめいた女性は多く、大きな反響を呼んだ。