柳楽優弥、坂東龍汰らの“裏側”も 『ライオンの隠れ家』の“本気”を感じられる特典映像を解説

 後世まで語り継がれそうな名ドラマが数多く生まれた2024年。10月期に放送された『ライオンの隠れ家』も、ベストドラマ候補の1つだろう。そんな同作のBlu-ray&DVD BOXが4月11日に発売される。

 同ドラマは、柳楽優弥演じる市役所で働く平凡で真面目な優しい青年・小森洸人と、坂東龍汰演じる自閉スペクトラム症の美路人の兄弟が、突然現れた“ライオン”と名乗る謎の男の子との出会いをきっかけに、“ある事件”に巻き込まれていくヒューマンサスペンス。完全オリジナルストーリーなのだが、温かなストーリーに加えて、先が読めないスリリングなサスペンス展開が絡みあっていくとあり、放送時はSNSで考察や感想が飛び交っていた。

 今回発売されるBlu-ray&DVD BOXでは、第1話、第4話、第6話〜第11話を、未公開映像を含むディレクターズカット版で収録。テレビの尺では収まりきらなかった小森家、そしてライオンの“本物の家族のような姿”は、観ていて心が温まるだけでなく、さらに深く作品の世界観へと引き込まれることだろう。

 また、180分超えの特典映像も収録。豪華すぎる内容となっているが、それを観ていると、この作品に関して改めて思うことが出てきた。

 まず1つは、キャストたちの役作りへの本気度だ。例えば、自閉スペクトラム症の美路人を演じた坂東は、制作チームとともに30年以上に渡り発達障害の子どもたちを支援してきたさくらんぼ教室を訪問。「自閉スペクトラム症の方がどう感じるのかを“僕なりに”わかる事実がないと、“やっているふう”になってしまう」と思いを述べた。また、今作で美路人が描いた絵画として、自身の作品を提供してくれた自閉スペクトラム症のアーティスト太田宏介さんを訪れ九州に行ったり、幼少期の美路人を演じる加藤竣志くんと会話を重ねたり、とにかく取材熱心な坂東。「勝手なイメージを作らないほうがいいと思っているので、自分の目で見たことを…」と徹底的に本物にこだわっていた。また、本物にこだわったのは、坂東の役作り中だけではない。撮影をしてみて、気になることがあれば柳楽や制作スタッフを含め、とことん意見を出し合う姿が印象的だった。

 しかし、このように真剣に役作りに向き合えるのは、柳楽の主演としての懐の大きさもあってのことだとメイキング全編を見て感じた。例えば、キービジュアル撮影時、まだ緊張した面持ちを見せるライオン演じる佐藤大空に柳楽はハイタッチするよう手を差し出す。また、市役所メンバーとの撮影時にも会話を重ねる姿も印象的。このように、主演として自分自身の役と向き合う必要がある中で、ほかの共演者が少しでも本領を発揮できるように、と気配りをする姿がメイキングの中にはたくさん映し出されているのだ。さらに、普段は特徴的な役を演じることが多い柳楽。しかし、今作では責任感が強く弟思いでありながら、平穏な毎日を過ごす姿が印象的な、受け身で平凡な青年を演じている。これについて柳楽は「ある意味で、チャレンジングな役だ」とメイキング映像の1つ「小森家の裏側」の中でコメントしている。そんな柳楽の洸人への解釈、美路人を作り上げる坂東や佐藤を支える姿には改めて注目してほしい。

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