サプライズ×ハイクオリティの融合を成し遂げた『ガンニバル』 シーズン2の注目ポイント解説

 こうした派手な見せ場のつるべ落としをさらに加速させるのが、柳楽優弥の手が付けられない怪演。村の陰謀や腐敗に公然と立ち向かう正義漢とは一線を画し、再三の脅しにも屈せず、それどころかブチ切れて襲い掛かってくる暴れっぷり。シーズン2の予告編では大悟が「こっちも狂うしかねぇんだよ」と絶叫しているが、狂気にはそれを上回る狂気でねじ伏せるという俗にいう「ナメテーター案件(なめてかかった相手が実は最強だった)」としての面白さも詰まっており、ヤバい村に足を踏み入れてしまった新参者が散々な目に遭うイヤミス的な展開ではなく、狂気VS狂気の構造になっていくのが『ガンニバル』の大きな特徴だろう。

『ガンニバル』シーズン2|本予告|衝撃の物語がついに完結へ!主演<柳楽優弥>×監督<片山慎三>×脚本<大江崇允>世界を震撼させたヴィレッジ・サイコスリラー超大作

 こうしたアグレッシブな部分を内包しつつも、ミステリー/サスペンスとしての引きも強力なのが『ガンニバル』流。「銀の死の真相は?」「後藤家は本当に人を喰っているのか? だとしたら何故?」「どうして狂気的なまでに結束力が強いのか?」といった疑問を投げかけつつ、後藤家の次期当主でありながら時折協力的な姿勢も見せる謎めいた男・恵介(笠松将)、後藤家の忌まわしき真実を知る京介(高杉真宙)、さらには後藤家が神のように崇める異形の存在“あの人”(澤井一希)といったキャラクターを次々に投入して後藤家にまつわる“謎”への興味を高めていく。シーズン1の終盤では供花村の伝統的な奉納祭が子どもたちを生贄に捧げる儀式を兼ねていることが判明し、県警の特別チームと協力しながら大悟が突入するがピンチに陥る緊迫のシーンが展開。一方、味方のはずだった警察に後藤家の息のかかった者がおり、妻の有希(吉岡里帆)と娘のましろ(志水心音)がさらわれてしまう。まさにクリフハンガー(続きが気になるようなシーンで締めること)の極致で幕を閉じ、ファンにおいてはその“続き”を約2年もの間待ちわびていたことだろう。

 これがそのままシーズン2の注目ポイントにもつながるが、「大悟・有希・ましろはどうなる?(無事なのか? そうだとしたらここからどうやって逆襲を図るのか?)」という目下の事件の顛末、そしてシーズン1から引っ張り続ける謎の答え、さらには忌まわしき儀式をどう終わらせるか、後藤家をどう止めるかといった課題――といった部分がストーリー面で期待されるものだろう。しかし『ガンニバル』シーズン1が驚きの連続だったように、シーズン2もただ真相が判明するだけでは終わらない。なんと物語は若かりし銀の過去にまでさかのぼり、現在の後藤家の成り立ちや“あの人”の出生にまつわる秘密がつまびらかにされていくという。さらに現代編では、後藤家と機動隊による全面戦争の火ぶたが切って落とされる。大悟VS後藤家の特攻部隊だけでもあそこまで苛烈なシーンだったのに、今回は数十人レベルの大乱戦になるわけで、“シーズン1超え”のとんでもないバトルが拝めるのは必至。大悟の暴走も拍車がかかるだろうし、カオスな状況に陥ったことで恵介にも試練が降りかかるはずだ。原作にはないオリジナ要素が追加されているとのウワサもあり、大いに気になるところ。何より、シーズン1の大ヒットを受けての完結編が想定内で終わるはずがない。必ずや、歴史を変える一手を講じてくるに違いない。「何が起こるかわからない、だがとんでもないものが観られるのは確定」というサプライズ×ハイクオリティの融合を成し遂げた『ガンニバル』シリーズ。その壮大なフィナーレを、固唾をのんで見守ろうではないか。

■配信情報
『ガンニバル』シーズン2
ディズニープラス スター にて、3月19日(水)より独占配信
出演:柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆、高杉真宙、北香那、杉田雷麟、山下リオ、田中俊介、志水心音、吉原光夫、中島歩、岩瀬亮、松浦祐也、永田崇人、ジン・デヨン、六角精児、恒松祐里、倉悠貴、福島リラ、谷中敦、テイ龍進、豊原功補、矢柴俊博、河井青葉、赤堀雅秋、二階堂智、大鷹明良、利重剛、中村梅雀、橋爪功、倍賞美津子
原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
監督:片山慎三、佐野隆英、大庭功睦
脚本:大江崇允、廣原暁
プロデューサー:山本晃久、半田健
アソシエイトプロデューサー:山本礼二
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