岡田准一の武器はアクションだけではない 『ゲド戦記』で表現した“少年の成長”と“心の闇”
だが『ゲド戦記』ではこうした力強いイメージを封印し、不安と恐怖から逃れることのできない青年・アレンの心の闇を声の芝居で丁寧に表現する。決して言葉数の多いキャラクターではないため、岡田にも短い受け答えの中でアレンというキャラクターを表現していくことが求められる。だがどれだけ短いセリフの中でも、岡田はアレンの持つ繊細な心、若者特有のエネルギーと、それをコントロールしきれない恐怖を丁寧に演じきった。過去にも、映画『東京タワー』(2005年)の小島透役など繊細さを持ち味とする役を演じてきた岡田だからこそ、声だけの表現の中でも“人間の魅力”が滲む芝居を見せてくれた。
1本の映画を通して、アレンにも変化が起こる。岡田はアレンの成長に合わせ、徐々に声色を変えつつ芝居をしているので、ぜひ物語の展開と併せて声の変化にも注目してもらいたい。『ゲド戦記』をノーカットで観ることのできるこの機会に、本作の世界観にどっぷり浸かってみるのもいいだろう。
■放送情報
『ゲド戦記』※ノーカット放送
日本テレビ系にて、3月7日(金)21:00~23:24放送 ※放送枠30分拡大
声の出演:岡田准一、手嶌葵、田中裕子、香川照之、風吹ジュン、内藤剛志、倍賞美津子、夏川結衣、小林薫、菅原文太
監督:宮崎吾朗
原作:アーシュラ・K・ル=グウィン
原案:宮﨑駿
脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
音楽:寺嶋民哉
©2006 Ursula K. Le Guin/Keiko Niwa/Studio Ghibli, NDHDMT