『べらぼう』を楽しむには『大奥』も必見! 冨永愛、風間俊介、中村蒼ら“転生”人物を整理

一橋治済の長男・徳川家斉から蔦重の義兄・次郎兵衛へ

 中村蒼は『大奥』で徳川家斉を演じていた。家斉は初登場時、実権を仲間由紀恵演じる母・治済に握られており、気弱さ漂う佇まいや覇気のない顔つきが心に残る。

 そんな中村が『べらぼう』で演じている次郎兵衛は自由気ままな性格の放蕩息子で、「蔦屋」の切り盛りも蔦重に任せっきり。働く気のあまりない次郎兵衛のどこか頼りない雰囲気は初期の家斉に通じる。とはいえ、中村の演技からは蔦重に対して決して偉ぶらないどころか、誰よりも本当の家族のように思う様が感じられ、兄でありいい友人のような立ち位置が魅力的に映る。

 中村演じる家斉が、自らの志を持ち、力強い姿に変貌を遂げた様も良かったが、蔦重が本作りに奔走する中、遊んでばかりで気楽に生きる次郎兵衛もまた、視聴者の心を強く惹きつけることだろう。

そのほか『大奥』からの“転生”俳優

 ちなみに、第1回で衝撃的で悲しい女郎たちの最期を印象づけた元松葉屋の花魁・朝顔を演じていた愛希れいかは、『大奥』では13代将軍・徳川家定を演じていた。平賀源内(安田顕)の商売仲間・平秩東作(へづつとうさく)を演じる木村了は、『大奥』では胤篤(福士蒼汰)付きの御中臈・中澤を、鱗形屋を演じる片岡愛之助も『大奥』では大奥総取締の藤波を演じ、そのほか、橋本淳、眞島秀和、原田泰造、吉沢悠、相島一之、山村紅葉も『大奥』からの“転生”を果たしている。

 さらに、2024年に放送されたフジテレビ版『大奥』からの“転生”も。平賀源内を演じる安田は、フジテレビ版『大奥』で田沼意次を演じていたし、花の井を演じる小芝風花は、亀梨和也演じる十代将軍・徳川家治の正室(御台所)である五十宮倫子を熱演。山村紅葉はNHK版にもフジテレビ版にも登場している。

 あの作品で〇〇を演じていた役者が本作では△△……と思い浮かべると頭がこんがらがることもあると思うが、別の作品を見返すことで今後の先行きを予習したり、役者陣の異なるアプローチを見比べてみたりといった楽しみ方もできるはずだ。“転生”前後の演技をぜひ楽しんでいただきたい。

■放送情報
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
総合:毎週日曜20:00〜放送/翌週土曜13:05〜再放送
BS:毎週日曜18:00〜放送
BSP4K:毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK

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