阿部寛は東日本大震災の痛みとどう向き合ったのか? ドラマを超えた撮影現場での衝撃
ロケで石巻を訪れた時のことについて、阿部は「終わってないんだなという感じがしたんですよね。整備はされているんだけども、静けさみたいなものがずっとあって。なんとも言えない気持ちになりました。街の人に会って話を聞いてみると、僕らが想像しても分からないようなことが、人と人との間に起きているんですよね。すごく複雑な感情になって、このドラマに挑んだんです」と相当な覚悟を持って撮影に入ったことを振り返る。
杉田が『水平線のうた』をスタートさせる上で最も思い悩んだのは、2024年に大きな被害に遭った能登の人々のことだった。なぜ13年後の石巻なのかということに悩み、どう表現すればこのドラマで伝えたいことを伝えられるのかを考えた時に、辿り着いたのが地元に根付いて生きている人たちの生の声をドラマに入れ込むということだった。ドラマは作られたフィクションと現実の物語が混じり合う内容になっている。
ドラマ内には、阿部が現地の遠藤さんから震災の話を聞く場面がある。「ドラマだってことを忘れてましたね。ご本人から聞くということは衝撃的なことだったし、経験されたことをできるだけ受け止めるようにしたいなと思って演じました。遠藤さんの目の繊細な感情の動きと、経験されているその深さを感じました」と振り返る。また劇中では音楽会が開かれるシーンがあり、阿部は「会場が一体となって、涙ボロボロの人もいましたし。その力ってすごいなと思います」と音楽の力、素晴らしさを伝える内容でもあることを見どころに挙げていた。
■放送情報
土曜ドラマ『水平線のうた』
NHK総合にて、3月1日(土)、3月8日(土)22:00〜放送
NHK BSプレミアム4Kにて、3月1日(土)、3月8日(土)09:25〜放送
出演:阿部寛、白鳥玉季、中川翼、キタキマユ、山中崇、宇野祥平、松岡依都美、山本浩司、菅原大吉、前原滉、松下奈緒、加藤登紀子 ほか
脚本:港岳彦
原案・音楽:岩代太郎
制作統括:杉田浩光(テレビマンユニオン)、高橋練(NHKエンタープライズ)、磯智明(NHK)
演出:岸善幸
写真提供=NHK