中村アンが『おむすび』に加える“スパイス”とは? 画面の印象を変える圧倒的な存在感
第18週から、管理栄養士として活躍する結(橋本環奈)を描く「病院・管理栄養士編」に突入した『おむすび』(NHK総合)。舞台を病院へと移し、登場人物たちも一新。結は管理栄養士として、医師や看護師、薬剤師、言語聴覚士と関わっていくことになる。
2月3日に放送された第86話から、委託会社の管理栄養士である柿沼莉子(しまずい香奈)との意見の相違が描かれたように、他の医療職との関わり方の難しさが取り上げられていきそうだ。出演者を見てみると、医師が3人登場するようだが、なかでも気になるのが中村アンが演じる外科医の蒲田令奈だ。
令奈のキャラクター紹介を見てみると、「丁寧な口調だが、自己中心的。術後の栄養補給などは管理栄養士に丸投げする」と、インパクトのある言葉が並ぶ。結との衝突は避けられなさそうだ。
中村は、令奈のようなクールで真意が見えにくい役柄がよく似合う。特筆したいのは、中村が演じる役柄が画面の中に現れると、不思議と作品全体が締まったような印象になることだ。
例えば、『着飾る恋には理由があって』(TBS系)では、サブストーリーとなる彩夏と寺井陽人(丸山隆平)の一筋縄ではいかない恋模様から目が離せなかった。また、『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』(フジテレビ系)でも、心の内が読めず、正体も分からない柚杏は、作品の謎の1つを担う重要な存在であった。中村の主張しすぎず、それでいて確実に画面の印象を変えてくれる存在感は、まるでひとつまみのスパイスのようで、彼女の登場によって作品に新たな味わいが加わる。
そして、その味わいによって作品全体の見応えが底上げされているような印象さえ感じられるのだ。これは、中村が作品に別の角度から光を当てるバランサーとしての役割が巧みだからといえるだろう。