反町隆史、“ダークヒーロー”で新境地を更新 『オクラ』で体現する“正義”の在り方

 現在放送中の『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系)でベテラン刑事・飛鷹千寿を演じている反町隆史が、“ダークヒーロー”として今までの印象を覆し、視聴者を魅了している。

 解決の見込みがほとんどないお蔵入り事件を扱う、通称“オクラ”を舞台に、証拠をでっち上げてでも真犯人を捕まえようとする飛鷹と新人・不破利己(杉野遥亮)の今までにないバディが、多数の未解決事件を追いながら、10年前の警察官連続爆破事件の真相を掴もうとする姿を描く本作。単に一話完結で事件が解決されるのでなく、事件を意図して未解決にしていた黒幕が毎回関わっているという、従来の刑事ドラマにはない新しさも魅力だ。

 第5話では、その黒幕に近づくまであと一歩というところで、飛鷹と不破が何者かの手によって襲われてしまった。やっと黒幕がわかるのか、とほっとした瞬間からの急展開で驚いた人も多いのではないだろうか。そして第6話では、捜査一課の課長・加勢(中村俊介)が11年前の副総理暗殺事件の犯人であることが明らかになる。互いにライバル視しながらも、長年の仲間だった飛鷹は、加勢の複雑な過去と本性を知り、怒りと呆れが入り混じったような表情を見せた。

 飛鷹を演じる反町は、『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)では明るい愛されキャラを演じ、学園ドラマ『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)では破天荒な高校教師に、そして『相棒』(テレビ朝日系)でもコミカルさのある“相棒”役を務めるなど、俳優として正義感の強い“陽”のイメージが強い。しかし本作では、ほとんどが“陰”で、諦念と覚悟が同居するような力強さを感じる顔つきを見せており、その対比が印象的に映っている。

 “陽”の反町のイメージを持っている人は、ドラマを観る前は「熱血刑事との摩擦を乗り越え、成長していく新人刑事の物語」と思ったのではないだろうか。その認識は間違ってはいない。ただ、最初は明るいキャラクター性が印象的だった飛鷹の、ダークな部分が次第に色濃く描かれるようになってきた。

 その一端は、犯人を目の前で捕らえられなかった記憶を滲ませながら、犯人の自宅のドアを叩き開ける第1話のシーンで垣間見える。法を守るのであれば、無理やり自宅に押し入ることはできないが「本当は12年前にこうするべきだった」と言いながらドアを破る飛鷹。その姿は、何かが取り憑いているようで、恐いとすら思えるほどの迫力だった。

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