『おむすび』でギャルと仮の姿の二面性を表現 田村芽実、多彩なキャリアで得た演技の幅
『おむすび』(NHK総合)の第1週では、結(橋本環奈)が博多ギャル連合(ハギャレン)と出会うまでが描かれた。第1話では伝説のギャルとして名を馳せていた歩(仲里依紗)が姉であることを教師からバラされてしまい、その噂はハギャレンへと広まった。ハギャレンの目的は結を総代表にすること。だが、結はハギャレンに入ることを拒んだ。第5話では結がハギャレンのひとり、スズリン(岡本夏美)が栄養失調でうずくまっているところを助けたことで、ハギャレンのメンバーと距離を縮めた。
本作のテーマのひとつである「ギャル」。それを象徴するハギャレンメンバーのリサポンこと理沙を演じているのが田村芽実だ。理沙は結のクラスメイトで、見た目は大人しい普通の生徒だが、実は1990年代後半のギャルに強い憧れを持っており、ギャルの歴史を本にすることを夢にしている。
ハギャレンに人生の価値を見出しているルーリー(みりちゃむ)、タマッチ(谷藤海咲)、スズリンとは違い、理沙は普通の女子高生とギャルの二足の草鞋を履いている。学校では自らがギャルであることを悟られたくないかのようにひっそりと過ごしている理沙だが、ハギャレンとして活動している時には明るい表情で、人生を謳歌している。どちらが本当の理沙かと言われれば、後者が本来の理沙の姿であろう。
作中でも描写されているように平成初期には渋谷や原宿を中心にギャル文化が各地で広まっていった。だが、次第にその影響力が衰えていくにつれて、ギャルは前時代的なものとして見なされていく。しかし、ギャルの存在は後世にも影響を与え、ハギャレンたちのようにギャルマインドをもっている若者も多くいた。必ずしもギャルは見た目だけではなく、マインドや価値観そのものを表している。それを体現しているのが理沙という存在だ。
田村は『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 おむすび Part1』(NHK出版)の中で、「台本を読んで、個性豊かなハギャレンメンバーの中でリサポンは立ち位置が難しい役だなと思いました。それで自分の役の可能性をたくさん探った結果、ちょっとぶっ飛んだ感じの女の子に(笑)。『大丈夫かな?』と心配になったときは監督と相談しながら、学校での理沙とギャルのリサポンを丁寧に演じ分けよう心がけています」と語っている。