『おむすび』は平成中期の世相を映す 松平健が語る「この世にクズはいない」に涙

『おむすび』は“クズ”がキーフレーズに

 結(橋本環奈)がギャルにからまれていると警察がやってくる。カツアゲされていると勘違いしたサラリーマンの男が警察官の川合(兒玉遥)を連れてきたのだ。男は、瑠梨(みりちゃむ)たちに「このままやったら社会のクズになるぞ!」と吐き捨てた。

 『おむすび』第4話では正反対の主張が発せられた。結が帰宅すると、聖人(北村有起哉)と愛子(麻生久美子)が野菜を選別していた。出荷する野菜は規格が厳しく決まっていて、曲がったきゅうりや不格好なトマトは売り物にならない。聖人から「どんなに味がよくても見た目が悪かったらクズになる」と説明され、結は考えこむ。頭に浮かんだのは先刻のサラリーマンの言葉だった。

 書道部への入部をやめたいと思っていた結に、風見(松本怜生)は一緒に展覧会に行こうと誘った。帰り道、駅でハギャレン(博多ギャル連合)のメンバーに出くわした結は「ギャルもお姉ちゃんも大嫌い」と本音をぶちまけた。家に帰ると、聖人が永吉(松平健)ともめていた。廃棄する野菜を売りに行く永吉を、聖人は「こげんクズば売っても大した金にならんやろ」と止める。永吉は耳を貸さず、結を連れてトラックで出かけた。

「形が悪かろうが見かけがひどかろうが、この世にクズなんてものはなか」

 繰り返し登場する「クズ」はなかなかパンチが効いていて、今作のキーフレーズかもしれない。人間にも、野菜や魚にも通じる言葉として引用されているが、ダメなやつ、役立たずの意味合いが強調されていると感じた。クズに関する主張は劇中で二分される。人も野菜もクズはないと考える永吉に対して、聖人や結が出会ったサラリーマンはクズを切り捨てる。結もどちらかと言うと後者である。ハギャレンのメンバーを見下す口調には侮蔑的なニュアンスがあった。

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