『スカイキャッスル』松下奈緒VS田牧そらのヒリヒリ感 まだまだ見えてこない九条の思惑
浅見家の家庭崩壊のカウントダウンが確実に始まった『スカイキャッスル』（テレビ朝日系）第6話。
経歴偽装がバレた浅見紗英（松下奈緒）の娘・瑠璃（新井美羽）は、母親を完全に拒み受験コーディネーター・九条彩香（小雪）にのみ心を許すようになる。
一家離散してしまった冴島家の息子・遥人（大西利空）も同じように母親を拒絶するようになり、追い込まれた母親の香織（戸田菜穂）は自らの命を断ったという。さらにその前にも同じように、九条が受験コーディネーターを担当した家庭で母親の自殺が起こっているという。これは偶然ではないだろう。
一体、九条の狙いは何なのか。子どもを洗脳し、母親から引き離して何がしたいのだろうか。気になるのは、冴島家崩壊の真相を小説にしようとする南沢泉（木村文乃）には協力的で、哲人（橋本じゅん）の居場所を教える九条の思惑がなかなか見えてこない。自身にとって不都合な真実に辿り着かれる可能性があるにもかかわらず、なぜ泉を泳がせるのだろうか。
さらに、過去が暴かれたのは紗英だけでない。夫の英世（田辺誠一）とかつての恋人との間に子どもがおり、それが居候の山田未久（田牧そら）だと紗英だけが気づいてしまう。自分の経歴も出自も嘘ならば、夫にも知らぬ間に別の女性との間に子どもがいてその子が自分の娘のライバルなんて……ハリボテの浅見家の綻びがどんどん露見するさまは苦しい。
信じていたものが揺らぎ始め、何を必死になって守っていたのかさえ見失いつつある紗英だが、弱みを見せられない完璧主義者で全てを自身で抱え込もうとしてしまうところがある彼女の今後が気にかかる。
そんな紗英役を熱演している松下奈緒は、長身で品性漂う元々の素質を本作では他者を圧倒するような高圧的な雰囲気や硬さに変換し見せている。『大奥』Season2（NHK総合）では老中の田沼意次役を好演し、冷静さと威厳だけでなく他者の痛みに想いを馳せられる優しさという魅力を全て立ち上らせていた。
