『虎に翼』片岡凜の不気味な表情が生む“緊張感” 寅子は美佐江を救うことができるのか?

 美佐江は自分のレゾンデートルを満たすために、周りの仲間を使って、善悪の境界線を探し続けているのだろう。自ら特別であり続けるために、犯罪行為に手を染めている美佐江をどうしたら救うことができるのか。それにしても片岡凜の演技が素晴らしい。言葉には現れない不気味な表情の機敏によって、シーンに緊張感が生まれていた。

 今すぐ納得した答えは出せないとしつつも、「一緒に考えてみない?」と話す寅子。美佐江は寅子のほうを振り向き、2人の距離が近づきかけたと思いきや、偶然優未(竹澤咲子)が現れると、その瞬間、美佐江の表情が変わる。それを見た寅子は恐怖を感じ、とっさに優未を抱き寄せた。美佐江は寅子が自分にとって特別な存在なのだと思いかけていたが、寅子にはすでに大切な娘の存在があった。それによって、完全に美佐江は寅子に対して心の扉を閉ざしてしまうという一連のシーンはお見事だった。

 年が明けた1953年1月、美佐江の審判が行われないことが決定した。寅子はどうしたら美佐江を救うことができるのか考え続けるが、まだまだ答えは見つかりそうにない。「ライトハウス」で寅子を見つめて微笑む美佐江の表情が不安を増長させる。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、岡田将生、仲野太賀、森田望智、田中真弓、遠山俊也、望月歩、堺小春、俵木藤汰、片岡凜、竹澤咲子、三山凌輝
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

関連記事