『光る君へ』吉田羊だからこその“強さと孤独”　詮子の最期に安らぎがあったことを願って

　公式サイト内のキャストインタビュー動画「君かたり」にて、吉田は藤原詮子について「彼女のセリフにもあるように、そのときそのときで彼女が大事にしてきたものを失いながら生きてきて、でも最終的に彼女に残されたのが藤原家という家柄で、それを守るという使命感を持って、それをモチベーションに彼女が生きられたとしたら、政治家・藤原詮子としてはいい人生だったのかなと思いたいです」と振り返っている。

　吉田は、藤原詮子の強さも弱さも見事に演じ切った。父・兼家のようなしたたかさを感じるような声色、周囲が圧倒されるような女院としての迫力ある佇まいなど、政治家としての強さを際立たせたかと思えば、一条天皇の前で見せた涙のように、孤独に苛まれる弱さも見せてくれた。加えて、詮子が気兼ねなく話すことのできる弟・道長の前でだけ時折見せるお茶目な姿はとても愛らしい。姉弟の場面でのリラックスした面持ちを見ていると、元来詮子は明るく溌剌とした人だったのかもしれないと思わされることもあった。吉田は、複雑な立場にある詮子の心情を想像し、自身に深く落とし込み、演じてきたのだろう。「君かたり」にて吉田は、「私は彼女の人生の暗い部分とか孤独な部分をすくいとってしまった」と語っているが、だからこそ、詮子がとても人間味のある、魅力的な人物であり続けたと感じている。

　藤原家を思い、息を引き取った詮子。せめてもの救いは、詮子が最も信頼していた弟・道長に看取られたことといえよう。姉の言葉に真摯に耳を傾け、涙を流す道長に、詮子が最後の安らぎを感じていたと思いたい。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送／ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演：吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作：大石静
音楽：冬野ユミ
語り：伊東敏恵アナウンサー
制作統括：内田ゆき、松園武大
プロデューサー：大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー：川口俊介
演出：中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供＝NHK