『【推しの子】』監督の「hajimari」フォルダは何を意味する? 原作派も考察が湧く演出に

 『【推しの子】』第2期は、その卓越した作画と演出で既に高い評価を得ていたが、第15話で新たな話題を呼んだ。特に注目を集めたのは、アイの死のフラッシュバックシーンだ。

 このシーンは、その表現の巧みさゆえに「最恐」とも評される程の衝撃を視聴者に与えた。目から光が失われたアイの姿は、まるでホラー作品のワンシーンのような不気味さを醸し出している。その漆黒さと徐々に死に飲みこまれていくアイの精緻な描写が、観る者の心に深く刻まれる恐ろしさを生み出していた。

 この驚くべき作画のクオリティを支えているのが、制作会社・動画工房だ。『NEW GAME!』『先輩がうざい後輩の話』『干物妹!うまるちゃん』など、日常系アニメでの高い評価で知られる同社の特徴が、『【推しの子】』にも遺憾なく発揮されている。特に、舞台稽古の合間の黒川あかねと有馬かなのやりとりなど、一見些細な日常シーンにおける女子キャラの作画のかわいらしさは見事というほかない。

 春クールの『夜のクラゲは泳げない』の高評価に続き、現在は『【推しの子】』と『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』が続けて放送されている。「動画工房リレー」とも呼ばれるこの流れは、同社の安定した作画力と演出力を改めて世に知らしめる結果となっているに違いない。

 ようやく役者に脚本がわたり、メインキャラたちの演技パートが映像で観られる日も近いであろう『【推しの子】』。先を知っているファンにとっても考察の余地を残すアニメ版として、また新しい本作の一面を見せてくれる日が楽しみだ。

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