『虎に翼』桜井ユキ&羽瀬川なぎ再登場の喜び 吉田恵里香の描く人間の奥深さに驚くばかり

 そんな涼子と玉の関係性の変化が気にかかる一方で、寅子と優未の親子関係にもちょっとした変化が。19歳の少年・元木(山時聡真)にかばんをひったくられた20歳の青年・水上(林裕太)が起こした暴行事件の裁判が始まり、以前よりも忙しくなった寅子。事情を知った花江(森田望智)は2人の元に、援軍を送る。花江の実家・米谷家で女中として働いていた稲(田中真弓)だ。現在は故郷の新潟で暮らしている稲が、毎週水曜日に寅子の家で優未の面倒を見てくれることになった。

 その稲を交えた会話の中で、優未が学校に友達と呼べる存在がいないことを明かす。といっても本人に悩んでいる様子はなく、あっけらかんとしている。しかも、心配する寅子に「意地悪されてないよ」「班を組まなきゃいけない時に一緒にいる子とか、そういう子はいる」としっかりフォローをいれる優未。少し大人びていて、しっかり者の彼女だから同い年の子たちとはタイプが合わないのかもしれない。親として心配になるのはわかるが、本人が納得しているなら無理に友達を作る必要もないのではないだろうか。何より、テストの点をごまかしていた優未が寅子に対して友達がいないことを変に隠さず、「学校の子はずっと一緒にいると疲れる」と正直な気持ちを伝えられるようになったことは一歩前進のような気がする。玉の複雑な心境もそうだが、吉田恵里香の描く人間の奥深さには毎度驚かされるばかりだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、岡田将生、森田望智、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、田中真弓、羽瀬川なぎ、望月歩、岡部ひろき、片岡凜、竹澤咲子
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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