平野紫耀×橋本環奈の“緩急”によって成立した『かぐや様』 『ファイナル』は今こそ必見

 平野紫耀が主演を務め、橋本環奈がヒロイン役を担当した映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』が、7月22日にTBS系で地上波初放送される。

 2019年に公開された『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』に続き、2021年に完結編として上映された本作。惹かれ合いながらも素直になれない白銀御行(平野紫耀)と四宮かぐや(橋本環奈)が、相手に先に告白させるため恋愛頭脳戦を繰り広げる物語だ。

 映画『かぐや様は告らせたい』の魅力は、なんといっても白銀と四宮の掛け合いである。それは恋愛であり、戦。決してバトルものではないものの、相手を好きすぎるが余りにそれぞれが自らの作戦を持って涙を流しながら刃を交える、ティザービジュアルはそんな2人の裏腹な心理描写を表してもいる。

 白銀は質実剛健・聡明英知の生徒会長、四宮は令嬢であり才女の生徒会副会長。そのプライドの高さが邪魔をして、あと一歩を踏み出せずにいたが、前作ラストの選挙戦演説で「好き」を言い合い、互いの愛を確かめ合っては口づけを交わしていた。それでも恋人関係に発展していかない白銀と四宮は恋愛にピュアで不器用すぎるが、相手が好意を抱いているということを2人は確かなものにしていた。

 映画『かぐや様は告らせたい』は大まかに言えば、白銀と四宮どちらかの作戦が水面下で進行しているか、四宮を筆頭とする登場人物の妄想劇場が繰り広げられているかの2パターンで構成されている。例えば今回放送となる『ファイナル』の冒頭で四宮が白銀に仕掛ける間接キスで動揺を誘うシーンや「四宮って綺麗だよな」といった真っ直ぐな褒め言葉でリアクションを確かめる白銀の「LIKEなのか、LOVEなのかはっきりさせようじゃないか作戦」は前者に当てはまる。好きが溢れそうになるところをグッと堪え、平静を装うシチュエーション。一方で妄想癖のある四宮は、側近の早坂(堀田真由)から言われた刺激の強いワードからよからぬイメージを膨らませてしまうこともしばしば。そのギャップこそが本作の魅力であり、言うなれば平野紫耀と橋本環奈による芝居の緩急がラブコメとしてのコントラストを鮮やかなものにしている。

 監督を務めたのは、映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』の河合勇人。近年には『言えない秘密』『身代わり忠臣蔵』を撮影していることは、ラブストーリーとコメディの両極の要素を行き来できる監督とも言えそうだが、映画『かぐや様は告らせたい』に関しては気楽に観られる作品と断言していいだろう(前作を観ていなくても楽しめるが、観ているに越したことはない)。

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