高山一実×西野七瀬のおじいちゃん役に衝撃! 『トラペジウム』が辿り着いた“光”の景色

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は『アイカツ!』『ラブライブ!』『プリティーリズム・レインボーライフ』といったアイドルアニメにどハマりしてきた佐藤が『トラペジウム』をプッシュします。

『トラペジウム』

「人間って光るんだって」

 “アイドル”を題材にしたアニメーションにおいて、キャッチコピーは最も重要な役割を持っているように思う。本作は、元乃木坂46のメンバーである高山一実による同名小説が原作。アイドルを目指す女子高生・東ゆうが地元の東西南北からメンバーを集め、4人組アイドルグループとして奮闘していく物語だ。

 自身もアイドルとして第一線で活躍していた人物の言葉だからか、「はじめてアイドルを見たときに思ったの、人間って光るんだって」のセリフが出てきた時の衝撃がすごい。これは本物のアイドルにしか見れない景色を肌で感じ、自分自身もその光を追い求めていたであろう高山にしか表現できない感覚だ。そして、「アイドルが放つ輝き」をテーマにした本作が、もっとも観客を世界観に引き込むシーンでもある。実際、作中ではこの“光”の演出にこだわりを感じる部分が多々あった。乃木坂46の公式YouTubeチャンネル「乃木坂工事中」にて公開された、メンバーの井上和と賀喜遥香が「CloverWorks」に潜入するという企画においても、本作のプロデューサーが「光の演出を意識して監督は作っている」と語っており納得。主人公が追い求めるアイドル像と直面するアイドルの闇、そしてこのキャッチコピーの3点を照らし合わせながら観てみると、より作品を楽しめるように思う。

 タイトルの『トラペジウム』は、オリオン星雲の中にある4つの重星を指している。さらにこの星が不等辺四辺形をしており、どの2つの辺も平行でない四角形だというのがミソ。作品を視聴した後にタイトルに込められた意味について考えてみると、主人公・ゆうが結成したアイドルグループ「東西南北」のメンバーそれぞれが向き合う葛藤やすれ違いの演出の下敷きとして、「トラペジウム」が効果的に使用されているのが分かる。

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