中村ゆりは人気キャラ“おまさ”をどう演じた? 『鬼平犯科帳』で感じた時代劇の醍醐味

京都の撮影所だからこそ引き出されたもの

――松本幸四郎さんとの共演はいかがでしたか?

中村:歴史ある長谷川平蔵という役を引き継ぐことに、とてもプレッシャーがあったと想像します。でも現場では緊張感を漂わせることは全くなく、私たち後輩俳優がリラックスできる雰囲気を作ってくださっていました。一方で、制作発表の挨拶を聞いても、映画のクランクアップの挨拶でも、作品と役に対する熱い思いに溢れていて、内側に燃えるものがある方なのだと感じました。それだけ熱い思いをお持ちにもかかわらず、お芝居では、ご自身のやりたいことを主張するのではなく、こちらがやることを全て受け入れてくださって。威圧感ある座長ではなく、包容力ある座長でいてくださって、とてもやりやすかったです。

――クライマックスのシーンはいかがでしたか?

中村:おまさにとって重要なシーンでした。撮っている時は、演技が本当に馴染んでいるのかどうかずっと不安があって、我ながら下手だなとか思いながら(笑)やっていましたが、出来上がったものを見たら、苦悩して正解だったと感じました。例えば、現代劇で、自分にすごくフィットする役をやると、自然と行動がついてくるようなことが希にあるんです。そういう時、役を生きている実感を得られるのですが、時代劇だと、あまりにもかけ離れていて、その域にまでなかなかいけなくて。先ほどもお話ししたように、時代劇の型を見せていくことを意識すると、感情がフィットするところまで持っていけない気がして不安でした。でも、型を一つ一つちゃんと作っていくことで見えてきたものもありました。とても学びの多い現場でした。

――京都の撮影所ではでどれくらいの期間、撮影しましたか?

中村:映画とドラマを並行して撮っていたので、期間的にはかなりの日数でした。行きっぱなしではなく、2カ月間くらい、京都と東京を行ったり来たりしていました。京都の撮影所には独特の空気感があリますね。スタッフの皆さんが、職人さん気質で、時に厳しい目で見られることもあるので緊張もしますが、それがありがたいですし、ある程度、思い切って懐に飛び込んでしまえば、衣裳さんも床山(結髪)さんもしっかりサポートしてくださる信頼感があります。髪をすごく繊細に結ってくださって、産毛ひとつひとつの流れも、ものすごく丁寧にやっていただき、感激しました。

――最後に映画をご覧になる方にメッセージをお願いします。

中村:劇場版『鬼平犯科帳 血闘』には時代劇らしいカッコよさがあります。アクションシーンの迫力も楽しんでいただきつつ、平蔵とおまさの過去も深く描いていますので、2人の原点のような物語もぜひお楽しみください。

■放送情報
『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』
フジテレビ:5月11日(土)14:00~16:00放送
東海テレビ:5月11日(土)14:00~16:00放送
サガテレビ:5月11日(土)14:00~16:00放送
サンテレビ:5月11日(土)19:30~21:20放送
KBS京都:5月12日(日)19:00~21:00放送
北海道文化放送:5月16日(木)13:50~15:45放送

■作品情報
劇場版『鬼平犯科帳 血闘』
公開中
配給:松竹

連続シリーズ『鬼平犯科帳 でくの十蔵』
時代劇専門チャンネルにて、6月8日(土)19:00〜放送
出演:松本幸四郎、柄本時生、仙道敦子、中村ゆり、和田聰宏、本宮泰風、浅利陽介、山田純大、久保田悠来、藤野涼子、波岡一喜、窪塚俊介、橋爪功

連続シリーズ『鬼平犯科帳 血頭の丹兵衛』
時代劇専門チャンネルにて、7月6日(土)19:00〜放送
出演:松本幸四郎、仙道敦子、中村ゆり、火野正平、和田聰宏、本宮泰風、浅利陽介、山田純大、久保田悠来、橋爪功、波岡一喜、古田新太

監督:山下智彦
脚本:大森寿美男
音楽:吉俣良
エグゼクティブ・プロデューサー:宮川朋之(日本映画放送)
プロデューサー:田倉拓紀、永富康太郎、足立弘平
アソシエイトプロデューサー:秋永全徳
原作監修:菅谷和紀
撮影:江原祥二(JSC)
照明:奥田祥平
美術:倉田智子
録音:松本悟
シニアVFXスーパーバイザー:尾上克郎
制作協力:松竹撮影所、松竹映像センター
制作:松竹
製作・著作:日本映画放送
公式サイト:https://onihei-hankacho.com

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