『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』はどこまでが妄想? 特報には“ジョーカーもどき”も登場

 そしてここからが、この特報の面白い(かつ考察したくなる)ポイントですが、アーサーがいわゆるジョーカーの姿で現れるシーンは『ラ・ラ・ランド』的なミュージカルっぽい演出になっており、これまた着飾ったハーレイとパフォーマンスしていることも多い。これがアーサーの妄想なのか、ということです。

 前作の『ジョーカー』でも、現実のシーンと主人公の妄想場面がシャッフルされていました。特にいかにもミュージカルらしいジョーカーとハーレイのダンスが、一瞬にして暴動が起こっているゴッサムの街角でアーサー(つまり白塗りメイクをしていない)とハーレイが踊るシーンに切り替わるところは、頭の中の妄想っぽいですよね。ここでかかる曲はトム・ジョーンズの“What the World Needs Now Is Love”です。

 当初、この映画はミュージカルになるのでは? とも言われていましたが、この予告を観る限りミュージカルっぽいシーンは多いが、決してミュージカル映画ではないという感じですね。前作でアーサーが心を寄せる女性の前で見せた頭を拳銃で撃ちぬくパフォーマンスを、今回ハーレイが完コピしているのもなにか意味がありそうです。

 個人的にこれが結構キモのシーンでは? と思ったのが、街中でアーサーがジョーカーたちに追われるシーン。ファンの間では、アーサーがジョーカーになるのではなく、アーサーのジョーカー行動に感化された者たちが“ジョーカーもどき”となり、そこから後の、真のジョーカーが誕生するとの憶測が飛び交っています。

 考えてみれば前作では、こうした“ジョーカーもどき”の一人にブルース・ウェインの両親は殺されてしまう、という流れでした。もしかすると、このアーサーを追っかけるジョーカーもどきが前作でブルース・ウェインの両親を殺した奴でしょうか。この特報の最後のほうでは、大爆発シーンがあります。映画『ダークナイト』のジョーカーは病院を爆弾で吹っ飛ばすなど、とにかく爆発マニアでした。ついにホアキン版ジョーカーも爆破に意欲的に?

 そして謎なのが、面会ボード越しにハーレイが「本当のあなたを見せて」と言いながら赤口紅でスマイルを書いて、そこにアーサーが顔をあわせてジョーカースマイルが誕生するシーン。面会ボードをはさんでアーサーとハーレイがいるということはハーレイは外の世界にいる? そしてこのセリフがきっかけとなり、アーサーはジョーカーとして暴れまわるのでしょうか。それから雨の中のアーサーという印象的なシーン。これはミュージカル『雨に唄えば』を意識しているようにも見えます。『雨に唄えば』の曲はスタンリー・キューブリックの問題作『時計じかけのオレンジ』で、とても暴力的なシーンで使われていましたね。

 今回の特報はとにかくガガの参加を印象付けるための役割は十分果たしていますが、アメコミ好きが盛り上がるような“匂わせ”要素はそんなに多くなかったような。ただとても本編が待ち遠しくなる内容でした。この2人がどんなとんでもないことをしてくれるのか、楽しみです。

■公開情報
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』
10月11日(金)全国公開
監督:トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト:JOKERMOVIE.JP

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