木梨憲武演じる雅彦はなぜ“リアル”? 『春になったら』で表現する“お父さんらしさ”
とくに、雅彦の場合は、ひとり娘の瞳を遺して逝かなければならない。まったく心配をかけないのは無理かもしれないが、少しでも楽しい思い出を残しておきたい。娘には、笑っている顔を思い出してほしい。「お父さん、最後まで元気だったよね」なんて笑っていてほしい。そんな気持ちが伝わってくるからこそ、雅彦の笑顔は涙を誘う。
思い返せば、雅彦が瞳の前で弱さを見せたのは、第7話。小さい声で、「まだ、死にたくないなぁ」とつぶやいたときだけ。実の姉・まき(筒井真理子)といるときでさえ、雅彦は弱音を吐かない。「(死ぬ)覚悟、できてんだね」と聞かれたときも、明らかに「本当は怖いよ。できてないよ」と言いたいような目をしていたが、グッと堪えて「う、うん」とうなずいていた。
ただ、最終回が近づくにつれて、空元気を演じることさえできなくなってきた雅彦。3月11日放送の第9話、倒れて入院することになった雅彦。ここまで、時間をかけて覚悟をしてきたはずなのに、機械につながれて眠っている雅彦を見て、怖くなった。あんなに元気だった人が、急にこんなにも弱ってしまうのかと思うと、“生”と“死”の距離の近さを感じて、ゾワっとした。
「春」というワードが切なさを帯びるようになったのは、きっと『春になったら』に出会ったから。正直、椎名家に感情移入をしすぎたせいで、最終回を観るのがちょっぴり怖い。それでも、出会わなければよかったとは思わない。『春になったら』を通して、温かい椎名家に出会い、たくさんの優しさに触れることができてよかった。わたしたち視聴者にとっても、大切な存在となった“お父さん”雅彦との残された時間をしっかり噛み締めながら、最終回を見届ける準備をしたい。
■放送情報
『春になったら』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:奈緒、木梨憲武、深澤辰哉、見上愛、西垣匠、影山優佳、矢柴俊博、光石研、橋本マナミ、筒井真理子、小林聡美、濱田岳
脚本:福田靖
音楽プロデューサー:福島節
主題歌:福山雅治「ひとみ」(Amuse Inc. / Polydor Records)
監督:松本佳奈、穐山茉由
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)
音楽プロデューサー:福島節
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
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