“学園ドラマ”黄金期から約20年 道枝駿佑主演『マルス』がミレニアル世代に刺さる理由

 さらにミレニアル世代の視聴者を懐かしくさせるのが、良い意味で暑苦しいストーリーだ。「俺たちがこの腐った世界を変えるんだよ」「俺たちが新しい時代を創る」「これは革命だ」というゼロの熱い台詞に多くの人はムズムズとした感覚を覚えるだろう。「なに青臭いこと言ってるんだ」と一蹴したくなる気持ちも分からなくはない。でも、だからこそ、この物語の意義があるのではないだろうか。ゼロのように何かを変えようとする人に対する冷笑的な見方は年々強まっているように思える。

 その背景には、正義だの革命だのと言ってられない景気の悪化に伴う生活の困窮がある。第2話での不破(日向亘)の台詞にもあったように、「正義を振りかざして間違いを正しても腹は満たされない」というのが本音だろう。エリ(大峰ユリホ)のように少しでも人に痛いと思われるような行動を取ったらSNSで晒され、時にその本人が自死を選ぶまで追い込まれてしまう現実がそこに拍車をかけている。だったら、不満はあってもどうにかやり過ごして平和に日々を送る方がいいと思う人が増えるのは当然だ。けれど、「それではダメだ」と全霊で訴えかけてくるのが本作だ。闇バイト、ネット論争、炎上系インフルエンサー、ゲーム課金、ホストクラブの売掛など、現代の問題を扱いながらも、その根底には間違った社会に反旗を翻すギラギラとした平成マインドがある。それが、このドラマの魅力だ。

 第8話では、サイバーテロの首謀者に仕立て上げられたマルスの無実を証明するため、ゼロたちが学校に立てこもる。立てこもりなんて久しくドラマでは描かれないので、不謹慎ながらエンターテインメントとして心が躍ってしまうのは筆者だけだろうか。

■放送情報
『マルス-ゼロの革命-』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:道枝駿佑(なにわ男子)、板垣李光人、吉川愛、井上祐貴、横田真悠、山時聡真、泉澤祐希、戸塚純貴、山口紗弥加、岩松了、野間口徹、菜葉菜、徳井健太(平成ノブシコブシ)
脚本:武藤将吾
音楽:未知瑠
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)
プロデューサー:田中真由子(テレビ朝日)、中沢晋(オフィスクレッシェンド)
監督:平川雄一朗、片山修
制作協力:オフィスクレッシェンド
制作著作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/mars/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/mars_tvasahi
公式Instagram:https://www.instagram.com/mars_tvasahi/

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