『ブギウギ』特別な絆をもった草彅剛と趣里 羽鳥も苦労した「ジャングル・ブギー」の誕生

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の第20週となる「ワテかて必死や」が放送された。羽鳥(草彅剛)が作曲し、スズ子(趣里)の歌唱する「東京ブギウギ」は多くの人に勇気と希望を与え国民的大ヒットとなった。だがこれをきっかけに羽鳥の元には仕事が殺到。曲作りが間に合わない羽鳥は、珍しく弱気になっている様子だ。そんな中、スズ子が次のステージのための新曲を書いてほしいと羽鳥の元を訪ねるのであった。

 スズ子と羽鳥の大躍進はまだまだ止まらない。作曲が追い付かずため息ばかりついていた羽鳥だが、スズ子がパンパンガールのおミネ(田中麗奈)たちと交流があることや、どうしても新曲を聞かせたがっていることを知り、再びアイデアが湧いてくる。映画監督から主題歌として渡されていた“一風変わった”歌詞を思い出すと、そこにスズ子の想いを乗せるかのように一気に曲を書き上げるのだった。

 こうして生まれたのが、第20週を象徴するかのような曲「ジャングル・ブギー」だ。生きる力に満ち溢れ、パワフルなスズ子の歌声が光る楽曲となった。曲の誕生の過程で印象的なのが、大ヒットを経た2人だからこその苦悩の部分だろう。羽鳥は「東京ブギウギ」以降、大量に曲を書かなくてはならなくなり煮詰まってしまう。

 いつも明るく朗らかで、アイデアに満ち溢れた羽鳥が、ピアノの前で浮かない顔をしているのは珍しいとさえ感じた。こうした羽鳥の苦悩を、草彅は非常に繊細に表現している。いつもの爛々と輝く羽鳥らしい瞳から一転、草彅が今週の序盤で表現したのは疲弊した勢いのない瞳だ。この緩急ついた瞳の芝居は羽鳥の“生き方”を如実に表しており、羽鳥が今どんな状況に立たされているのかが痛いほど伝わってくる。だが第20週前半に描かれた“苦しみ”はやがて週の後半で回収されることになる。

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