『おっさんずラブ』春田が多くの人の心を掴んで離さないワケ 牧にだけ見せる一面も

「春田くんってほんと、存在が罪だよね」

 これは『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日系)第5話で、蝶子(大塚寧々)が六道(三浦翔平)にかけた言葉なのだが、この言葉には視聴者はおろか、牧(林遣都)や黒澤(吉田鋼太郎)、おそらく和泉(井浦新)までもが頷くことだろう。一体、春田(田中圭)のどんなところが多くの人の心を捉えて離さないのだろう。

 春田はとにかく無邪気である。それゆえ、人との距離が近い。第5話では風邪気味らしい和泉が「熱はないと思うんです」と言うと春田は「ほんとにぃ〜?」と突然、和泉の額に手を当てていた。不意なボディタッチはドキドキするものである。この後、紆余曲折はあるが、和泉は六道に「春田さんのことを好きになったのかも知れない」と打ち明けている。春田の、人と壁を作ろうとしない姿勢が「春田を好きになるハードル」のようなものを下げているのだろう。

 和泉に好意を抱いている六道のことを思うとこの告白の残酷さに頭を抱えてしまうし、何より春田には牧というパートナーがいるので、和泉にはしっかりと自分の気持ちに向き合ってほしいが、こんなことがあると牧が春田を「ポンコツで、鈍感で、無防備でイラッとすることもある」と言う気持ちも分かってしまう。でも、牧も自分とお買い物デートや新婚旅行に行くことを純粋に喜び、楽しみにしている春田の姿を見て顔を緩ませていた。やっぱり無邪気な春田をかわいいと思っているところがあるのだろう。

 さらに、不思議なことに春田の素直でまっすぐなところに接すると、人は心を許し、隠し事や嘘をつき通すのを止めたくなってしまうらしい。だから和泉はロケットペンダントに写真を入れていた秋斗(田中圭)のことをきちんと春田に説明しようとしたし、酒の力があるとしても六道は、自分の和泉に対する思いを春田と黒澤に吐き出した。第4話では蝶子の“人生のどん底”として、黒澤から春田のことが好きであると告白されたシーズン1の場面が映し出されたが、社会的地位もあり、家庭もあった黒澤がいろいろなリスクを背負ってでも本当の気持ちを言いたくなったのは、やはり春田の不思議な魅力があったからではないだろうか。結果として、春田は黒澤と蝶子の関係を下手に壊すことなく、2人は唯一無二の親友となり、夫婦とは別の形で支え合っている。

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