『ゴールデンカムイ』は世界にも通用するアクション映画 “実写化俳優”山﨑賢人の集大成に
正直、自分は山﨑賢人がなにを考えているのかわからない。無論この世に他者を理解できることなどまずあり得ないし、それがスクリーンを通して一方的にしか関われない俳優となればなおさらだ。それでも山﨑賢人はなにを考えているのかわからない度が相当高い。山﨑賢人と言えば「実写化映画ばかり出ている俳優」というイメージだが、そもそもなにを考えて実写化映画ばかり出ているのだろうか。役柄に関わらず実写化映画となれば大体なんでも出演しているため、自分は彼の俳優としての個性すらよく掴めていない。
しかし、その印象は『ゴールデンカムイ』で完全に瓦解した。山﨑賢人は『キングダム』シリーズをはじめとした実写化アクション作品に次々と出演することによって、己のアクションスキルをメキメキと向上させてきたのだ。『ゴールデンカムイ』はそんな山﨑賢人のアクションスキルが完全発揮された作品と言える。恐らく今現在の山﨑賢人は間違いなく日本有数のアクション俳優だ。山﨑賢人が実写化映画に出まくることを指して「なにを考えているのかわからない」「個性が掴めない」と述べたが、彼はただ「実写化映画に出る」という一貫した行動によって磨き上げられた、槍の切っ先みたいな個性を我々に叩きつけたのだ。
というわけで『ゴールデンカムイ』の山﨑賢人はすごい。アクションによって与える説得力は段違いだし、原作にもある団子串のシーンや腸のシーンは暴力のカジュアルさを象徴している。なのでどうか『ゴールデンカムイ』の続編映画を作って欲しい。『キングダム』と『ゴールデンカムイ』の両輪で山﨑賢人がアクションしまくる時代を築いてほしい。きっと山﨑賢人は日本どころか世界有数のアクション俳優になる。そんなポテンシャルを感じさせる映画。それが『ゴールデンカムイ』だった。あと、単純に山﨑賢人のアクションがまた観たい。
いろんな国の映画を観ていると、やはりこの国にしか撮れないなあと思わされる映画がある。日本だと今現在全米で大ヒットを記録しアカデミー賞視覚効果部門にもノミネートされた『ゴジラ-1.0』(2023年)のような怪獣映画がその一つだろう。それから『クローズZERO』(2007年)や『HiGH&LOW』シリーズのような不良たちが集団で殴り合う映画。これは他の国ではまったく観たことがない、日本独自の熱量を持った映画だ。そして今ならばマンガ原作の実写化アクション映画もそこに加えたい。
『るろうに剣心』で花開いた実写化アクションは、Netflixシリーズ『幽☆遊☆白書』(2023年)と『ゴールデンカムイ』で世界有数のモノに達したと思う。アクションは言語を介さず魅力を伝えることができるので、世界に売り出しやすいのではないだろうか。というわけで『ゴジラ-1.0』に続く世界的ヒットを狙う作品として『ゴールデンカムイ』、そしてアクションと全然関係ないが『カラオケ行こ!』(2024年)の二の矢三の矢を放って欲しい。
■公開情報
『ゴールデンカムイ』
全国公開中
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、栁俊太郎、泉澤祐希、矢本悠馬、大谷亮平、勝矢、高畑充希、木場勝己、大方斐紗子、秋辺デボ、マキタスポーツ、玉木宏、舘ひろし
原作:野田サトル『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊
アイヌ監修:中川裕、秋辺デボ
製作幹事:WOWOW・集英社
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝
©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
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