友近、『ブギウギ』で緩急の“緩”を担う? スズ子を支える存在としての安心感

 彼女が朝ドラに登場するのはこれが3度目。2006年から2007年にかけて放送された『芋たこなんきん』、2015年から2016年にかけて放送された『あさが来た』、そして『ブギウギ』である。

 演じるのは東看護師というキャラクター。妊娠中でありながらもステージに立とうとするスズ子を全力でサポートする人物だ。この役どころからして、視聴者から笑いを取ろうとする存在ではないはず。とはいえ本作は全体的に明るいいっぽうで、シリアスな瞬間がたびたび訪れる。そういった際に、この『ブギウギ』が持つ緩急の“緩”を先頭に立って担うことは予想できるだろう。

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 友近といえば、さまざまなタイプの人物をデフォルメして演じる単身でのコントを得意としている。誰もが一度はテレビでその姿を目にしたことがあるのではないだろうか。彼女が演じてきたありとあらゆるキャラクターたちは、年齢も性別も関係ない。つい笑ってしまいながらも、「たしかにこんな人いる!」というのが素直な反応だ。つまり彼女は何かを演じることに優れているわけだ。

 だが、映画やドラマでそれらしくキャラクターを演じるのではなく、役の人生を生きなければならない場合、「たしかにこんな人いる!」では成立しない。

 そこで友近の俳優としてのキャリアに目を向けてみる。『中学聖日記』(TBS系)では、中学教師である女性主人公のかつての指導者であり、彼女が心を開くことのできる人物の役に。『プロミス・シンデレラ』(TBS系)では思いがけず旅館で働くことになった主人公にとって、厳しくも頼れる上司を演じていた。この2作において友近が求められていたものは、芸人的なものではなく、完全に演技者に求められるものだった。こんなポジションで変に笑いを取ろうなどとしては、作品全体が歪んでしまう。彼女の純粋な俳優としての力が、両作を支えていた。

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 『ブギウギ』の東看護師も、ここに並ぶものなのではないだろうか。とくに現在の本作は、スズ子を取り巻く者たちは男性ばかりだ。第9弾の新キャスト発表時に制作統括の福岡利武は「東看護師の友近さんは、身重なスズ子に一番近くで寄り添ってくれています。存在感と愛情たっぷりの芝居です」と述べている。スズ子を支える新たな存在として、友近ならば私たち視聴者も安心なのではないだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー) 
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie

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