『おっさんずラブ-リターンズ-』林遣都と吉田鋼太郎の芝居合戦 第1話を凌駕する衝撃展開も

 『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日系)が5年の歳月を経て再び幕を開けた時、春田(田中圭)と牧(林遣都)の新婚生活と並んでキャスト陣や視聴者から大いに期待の声が挙がっていたのが、牧と武蔵(吉田鋼太郎)のバトルだった。

 前作では「天空不動産」の営業部長(武蔵)と営業部員(春田、牧)という関係性だったが、今作では武蔵が天空不動産を早期退職後、「ばしゃうまクリーンサービス」に再就職。2人の間に家政夫として現れたのだ。

 第1話の時点から訪問してくる武蔵に「チェンジ」と警戒心マックスの牧。第2話では、武蔵が家事代行として2人の“愛の巣”に上がっていたところに、牧が先に帰ってきてしまうことで、ついに「牧 VS 武蔵」が開戦する。

 言い換えれば、ここは林遣都と吉田鋼太郎の芝居合戦。春田を巡っての互いの嫌悪感はあらわにしながら、徐々にセリフのイントネーションや身体的なぶつかり合いを高めていく、手に汗握る長尺シーンだ。細かいところまでは行き届いていない牧の掃除を注意する武蔵に対して、牧は武蔵が作る料理の味が濃いと指摘。さらに牧の作る簡単な食事で栄養が偏っていると、冷凍食品の餃子の袋を生ごみから取り出した武蔵は、その袋で牧の顔をペシッ! 完全にエンジンがかかった2人。牧も負けじと武蔵の顔を叩き、味見した味噌汁を「しょっぱ!」と吐き出す。武蔵も蕎麦打ちの麺棒で牧の手をグリグリしたりと応戦が続く中、流れが変わったのが牧が切り出した「叩いて被ってじゃんけんぽん」だ。

 童心に帰ったという理由で武蔵の頭をキッチンペーパーでバンバン叩きまくる牧に、武蔵はなんとフライパンで応酬。「カーン!」という甲高い音がリビングに4度響き渡る。そこに春田が帰宅してくることでキャットファイトは停戦を迎えることになるが、怒りの収まらない牧は業務を終え帰ろうとする武蔵に蛇口から出た水を手ですくいそのままかけ、それに武蔵も割烹着を牧にぶつけるという、もはやどこまでがアドリブで、効果音(特にフライパン)なのかが判断がつかない領域にまで突入してしまっている。

 武蔵はなぜ牧に厳しい言葉をかけてしまうのか、その感情が自分にも分かっていなかった。春田と牧の結婚を心から祝福してはいるが、牧への対抗意識、意地悪な気持ちが沸々と湧き上がってしまう――。その思いを元妻の蝶子(大塚寧々)は、息子を愛しすぎて、そのパートナーに意地悪したくなる姑の感情だとアドバイスする。つまりは牧が嫁だとすれば、武蔵との嫁姑バトルが展開されていたことになる。まさに第2話のタイトル「渡る世間に武蔵あり」の状態だ。

関連記事