『ゴジラ-1.0』から『トットちゃん』まで “戦争”の面影を持つ映画が増えている背景とは?
それは「若者の視点を軸に作品を描いている」という特徴だ。先ほど例に挙げた『永遠の0』では、現代を生きる孫の青年を通して、誰よりも死ぬことを恐れていた男が太平洋戦争で特攻兵に志願した姿が、『この世界の片隅に』では、海軍の街・呉に嫁いできた18歳のすずを通して、戦時中の日本の日常が描かれた。この視点を取り入れた作品が増えたことで、戦争映画に対するハードルが低くなり、“若者世代でも共感しやすい戦争映画”が増加していったのだ。
とはいえ、2023年にヒットした理由はそれぞれの作品の独自性によるものが大きい。例えば、『ゴジラ-1.0』のゴジラような特異な存在や『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』のタイムスリップ設定のような、戦争を軸としないオリジナルの要素も盛り込まれている。戦争を描いた“から”ヒットしたというわけではないが、世界が戦禍に包まれている現状がある中で、こうした人気作が若者の関心を高める契機となったのは事実だろう。
太平洋戦争の終結から78年が経過した。この時の流れは、1人の人間の生涯に並ぶ時間と言っても過言ではない。語り部の存在が少なくなっていく中で、戦争が残した深い傷跡と教訓をどのように心に刻み続けるべきかが問われている。そんな今だからこそ、歴史を知るための「入り口」となっていることは、非常に意義のある流れだと感じている。
参考
※1. https://readyfor.jp/projects/tachiarai-heiwa02/announcements/297904
※2. https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02241/
■公開情報
『ゴジラ-1.0』
全国東宝系にて公開中
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介ほか
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ROBOT
配給:東宝
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