『ブギウギ』坂口は誰よりも愛助を想っていた “トミ”小雪の激烈な叱責で見えた信念
朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)第62話は、戦時下かつ思うように歌が歌えない中で、スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)が、坂口(黒田有)が用意した三鷹の家で幸せな暮らしをするひとときが描かれた。
結核が再発し寝たきりの生活を余儀なくされた愛助の身の世話を続けていたスズ子。肝心の「福来スズ子とその楽団」の活動はというと、愛助から新しいマネージャーとして紹介された山下達夫(近藤芳正)の就任が白紙となったことにより活動できずにいた。だが、スズ子のお世話の甲斐あって愛助の病状は回復の一途を辿っており、スズ子が愛助のために家事をする光景はなんとも微笑ましい。
大好きな音楽を犠牲にしてまでも、自分の看病をしてくれているスズ子に対して引け目を感じていた愛助は、部屋を訪れた小夜(富田望生)に「スズ子さんのこと、いつまでもここに閉じ込めてええんやろうか?」と話すと、小夜はスズ子に直接聞いてみてはどうかと提案する。しかし、スズ子ならきっと余計なことを考えずに身体を治すように言ってくるだろう。愛助もそれは十分に理解していた。
「あの人を舞台から遠ざけててええんやろうか?」と感じていた愛助は、自ら大阪へと出向いて母・トミ(小雪)と会いに行き、山下がスズ子の楽団のマネージャーになることを説得しようと考える。しかし、結核が治り切っていない愛助が大阪へ行くのはあまりにも無謀だ。それを聞いた坂口は愛助に代わってトミを説得することを決意する。
その後、愛助はスズ子に「スズ子さんが側にいてくれてほんまに心強い。せやけど僕は“福来スズ子”のファンなんや」とこれまで言えずにいた思いを打ち明ける。スズ子が愛助の看病に幸せを感じているのは嘘ではないだろう。だが、愛助の言葉を受けて、スズ子はずっと押し殺していた歌って踊ることの幸せを再確認したのではないか。