板垣李光人が2023年に俳優として得たもの 高橋文哉との関係性、芝居への思いを語る
12月22日に最終回を迎えるTBS系金曜ドラマ『フェルマーの料理』。第9話では、岳(高橋文哉)の“暴走”によって、レストラン「K」はバラバラになるものの、海(志尊淳)との再会によって、新たな一歩を踏み出すさまが描かれた。最終回では、岳と海がどんな料理を生み出すのか、そして再び「K」のスタッフは集まるのか。
物語上では決定的な亀裂が入ってしまった「K」スタッフたちだが、番組公式SNSでは和気あいあいとした姿を披露している。その中でも特別な仲の良さをみせているのが、岳を演じる高橋文哉と乾孫六役の板垣李光人だ。2023年はNHK大河ドラマ『どうする家康』への出演のほか、数多くの作品に出演した板垣。締めくくりとなった『フェルマーの料理』にはどんな思いで臨んでいたのか。(編集部)
『フェルマーの料理』出演で変化した料理への意識
――物語もクライマックスを迎えますが、板垣さんの現在の心境を聞かせてください。
板垣李光人(以下、板垣):ここまで、あっという間でした。本当に盛りだくさんの展開だし、岳の前に現れるキャラクターたちも個性豊かです。ずっと最高速度のジェットコースターに乗ってるようなので、なおさらあっという間だと感じるんでしょうね。いよいよ後半からはドラマオリジナルの脚本に進んでいくことになります。
――まさに、ドラマが原作の先を描いていくわけですが、そこのところの展開はいかがでしたか?
板垣: 第1話からずっと、岳の別人のような様子が描かれていました。いよいよ第9話、第10話で、その理由や、この先どうなるのかが明かされます。レストラン「K」のスタッフと岳はこんな別れ方をしてしまうけれど、岳への愛や信頼など築き上げてきたものは変わることがないので、そこを携えてまた新たに始まっていくというところが素敵だなと思いました。
――ドラマならではの展開を楽しみにしています。『フェルマーの料理』の公式SNSには皆さんの楽しそうな姿が投稿されていますが、撮影はどんな雰囲気なのでしょうか?
板垣:物語も佳境なので、キャスト、スタッフ一同、より集中力が高まっています。現場はとても盛り上がっていますね。キャスト同士の関係性があるからこそ、役での広がりを見せられるものだと思うので、「K」で働く我々はそこを大切にしています。役の上で、孫六は岳に特別な思いを持ったり、ぶつかりあったりもしますが、僕と(高橋)文哉との心の距離の近さがあるから、お互いに芝居がやりやすいということも。孫六と岳の前後の関係性を考えながら、一つ一つ丁寧にシーンを作っていけているので、個人的にはやりやすい現場だなと思います。
――高橋さんとは、しっかりコミュニケーションを取っているんですね。
板垣:ずっと取っていますね。昼休では一緒にご飯を食べたりしています。文哉とは、同世代の友達みたいな近さもありつつ、芝居の話もしっかりできる関係です。現場でここまで人と近くなるということがあまりないので、僕の中で文哉は貴重な存在ですね。
――お話を聞いて、板垣さんと高橋さんだからこそいい関係が築けたし、それがお芝居で生きてきているのだと感じました。
板垣:それは、すごくあると思います。
――そして、やはり気になるのが料理のシーンです。練習はたくさんされましたか?
板垣:撮影に入る前から、練習はしていました。孫六は、最初の方ではブリュノワーズ(野菜を1~2mm角のさいの目切りにすること)などの下処理を担当することが多かったけれど、そこの手際の良さを出すには数をこなすしかありません。だからジャガイモと玉ねぎをひたすら切っていました。
――『フェルマーの料理』に出演したことで、料理に対する意識は変わりましたか?
板垣:今までは、特別に意識することなく料理をしていました。家では誰に見せるわけでもないし、自分のために作るだけですから。でも今回の僕の役はプロの料理人です。切り方一つにも正しい型があるし、どう動けばプロのように見えるのかという見栄えも重要になります。料理が「見せるもの」になったというのは、大きく変わったところですね。
――このドラマの料理は、どれも美味しそうですよね。実際に現場で板垣さんが一番おいしかったと思うものを教えてください。
板垣:第9話で出てくる、「乳飲み仔豚と菊芋、いぐさのエキューム」です。実は自分が劇中で食べない料理のときも、裏で文哉たちと一緒につまみ食いに行くんですよ。毎回感動するくらい美味しいんですけど、中でも、あれはなんて言ったらいいのか……言葉で言い表せないぐらいの美味しさでした。いろんな酸味と、肉の味のバランスが絶妙で、すごく感動的な味でした。毎回リアルタイムで放送を観ていて、本当にお腹が空きます。ちょっとお腹が空いてくるぐらいの時間に、あの美味しそうなシズル感の映像を入れられるともう(笑)。中には公式でレシピを教えてくれているものもあるんですよ。