『チェンソーマン レゼ篇』映画化は運命? 藤本タツキと“魔性”の声優・上田麗奈の出会い

 藤本タツキは映画マニアとして知られており、初連載の『ファイアパンチ』の頃から作中に映画ネタを盛り込んでいる。それは『チェンソーマン』においても変わらず、多数のオマージュが散りばめられている上、ちょうど「レゼ篇」の前触れにあたる第39話では、デンジとマキマが映画を観に行くエピソードが描かれていた。

 「レゼ篇」の内容自体、沖浦啓之監督のアニメ映画『人狼 JIN-ROH』にインスパイアされたものであることを藤本自身が語っており、そのほかにもサメ映画『シャークネード』などのオマージュが見受けられる。そんな映画愛にあふれた作品が劇場で公開されることには、大きな意味があるはずだ。

 そして『チェンソーマン レゼ篇』では、ヒロインにあたるレゼ役に上田麗奈が抜擢されていることも注目ポイント。上田は10年ほどのキャリアをもつ実力派声優で、とくに“ミステリアスな映画ヒロイン”を演じる際に強烈な存在感を発揮してきた。

 たとえば伊藤計劃原作の『ハーモニー』では、謎に満ちた物語のカギを握る少女・御冷ミァハ役を担当。今年公開された岡田麿里監督・脚本作品の『アリスとテレスのまぼろし工場』では、いくつものウソと秘密を抱えたヒロイン・佐上睦実を圧倒的な熱量で演じてみせた。2021年公開の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』でも、魔性の女性、ギギ・アンダルシアを演じたことが記憶に新しい。

 なおギギ・アンダルシア役はオーディションで勝ち取った役柄だが、その抜擢理由は、まさにミステリアスな演技が認められた結果だった。2020年3月に行われたファンイベントにて、『サンライズ』の小形尚弘プロデューサーは上田の芝居について「可憐な少女っぽいんだけど、ちょっと怖さもあったりとか、ミステリアスな部分っていうのが非常に感じられて、それで上田さんだなって感じにスタッフ一同なりました」と語っていた。(※)

 「レゼ篇」も簡単にいえば、純粋な少年がレゼという魔性の美女に翻弄されていく物語なので、まさしく上田が演じることを運命付けられたような設定だ。彼女の本領が発揮されることに期待せざるを得ないだろう。

 ほとばしる映画への愛情を作品に注ぎ込んできた藤本タツキと、ミステリアスな少女を十八番とする上田麗奈。この出会いによって、どんな傑作が生みだされるのだろうか。

参照

※ https://gigazine.net/news/20200324-mobile-suit-gundam-hathaway/

■作品情報
『チェンソーマン レゼ篇』
©藤本タツキ/集英社・MAPPA
公式サイト:https://chainsawman.dog/
公式X(旧Twitter):@CHAINSAWMAN_PR

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