『ブギウギ』スズ子と愛助に年齢の壁が まるで“USK時代の直談判”な坂口への抗議

 愛助のことを目の敵にしている小夜(富田望生)がスズ子の恋の相談を聞くことになり、シーンは再びの屋台へ。スズ子のことを心配しているのか、それとも恋話が好きなのか、おそらく後者な予感はしているが……男性から初めて気持ちを伝えられたスズ子に対して、小夜は何度も告白されたというが、その度に騙されてもきたようだ。小夜が愛助に不信感を抱く理由はそこから来ているが、愛助は誠実で「チャップリンみたいに世界中を笑わせたい」という大きな夢を持っているのだと、スズ子は小夜と話していくうちに自分の気持ちを確かめていく。

 スズ子の中でもネックになっているのは、愛助との年の差。彼からの告白に対して勇気を持って踏み出せないスズ子の背中を力強く後押ししたのは、まさかの伝蔵だった。「大事なのはなおめえの気持ちだろう」。周りが全員反対する中で初めてスズ子が受け取った肯定の言葉。「あの野郎は悪い奴じゃねえ。なかなかいい目してやがった」というここに来ての伝蔵の慧眼は説得力がある。「若え時の俺とそっくり」という余計な一言は上の空だったとしても。

 翌日、愛助の下宿へと向かうスズ子。部屋の前で呼吸を整え、ドアをノックしようとしたその時、聞こえてきたのは村山興業の坂口(黒田有)の声だった。学徒出陣で同級生が戦地に出征している中、色恋にうつつを抜かしている場合ではないと、愛助に注意をしに来ていたのだ。愛助も自分が不甲斐ないと認めつつ、坂口はスズ子のことを諦めさせようと「ええかげんな人」「後継ぎと歌手の結婚なんてありえまへんわ」「一時の気の迷いや! ままごとや!」「あの女は野心家や」「ボンのことも利用してるかもしれません」「女は怖いんでっせ」とボロカスにこき下ろす。かつてのUSKの社長室に直談判しに行ったシチュエーションとも似ているが、抑えきれなくなったスズ子はドアを開け、睨みを利かせた坂口と一触即発の状態で第55話は幕を閉じる。

 マネージャーの五木(村上新悟)から名前だけが登場している村山興業の社長で愛助の母である村山トミ(小雪)が、第12週の予告でその姿を見せている。振り返ると、吉本興業の吉本せいをモデルにした2017年度後期のNHK連続テレビ小説『わろてんか』でヒロイン・てん(葵わかな)は、旅芸人の藤吉(松坂桃李)と運命的な恋に落ち、いわゆる駆け落ちをすることになる。それぞれの朝ドラで人物設定はまた別だとはいえ、『わろてんか』を例にするとトミは愛助とスズ子の恋愛を許してくれそうな気もするが、果たして。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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