『ブギウギ』水上恒司のまっすぐな表情に惹き込まれる 贅沢なスズ子の「ふるさと」も
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』第52話では、スズ子(趣里)とその大ファンでもある村山愛助(水上恒司)が運命の“出会い”から徐々に惹かれ合うまでの過程が描かれた。
「福来スズ子とその楽団」が地方巡業で愛知に行った際に居合わせたのが、後に最愛の人となる愛助。スズ子一行の宿泊先に再び現れた愛助は、小夜(富田望生)から自分がなくしたお金を盗んだ犯人として詰められるが、スズ子はそこに六郎(黒崎煌代)の面影を感じ、その日の夕食に誘うのだった。
「ホンマにずっとファンでした」と語る愛助はどこか緊張しているようにも見えるが、惹かれるきっかけとなった「ラッパと娘」の魅力を熱弁する彼の表情は朗らかだ。「福来さんは独特です。歌がうまいのは当たり前なんですけど、何や聞いてるとええ気持ちになるいうか、吸い込まれてしまうんです」という愛助のラブコールが清々しい。スズ子も照れ隠しなのか、少し大げさなリアクションで応えているのが微笑ましく感じられた。
小夜の失態によって宿代を後払いで払うことになったスズ子だったが、その半分を愛助が負担してくれていたというのだ。スズ子は「受け取れまへん」と断固拒否するも、愛助はすでに帰ってしまっており、もちろん返すすべはない。急いで神戸に向かう汽車へと乗り込むと、そこにはなんと愛助が居合わせていた。ここぞとばかりに小夜は愛助を犯人に仕立て上げようとするが、スズ子は小夜をたしなめる。スズ子は愛助にお金は受け取れないと話していると、偶然通りかかった軍人が「村山の坊っちゃんじゃないですか!」と声をかけてきた。学生がなぜ宿代を負担できたのかという疑問があったが、実は愛助は大阪随一の演芸会社である村山興業の御曹司だったのだ。
だが、御曹司であることに居心地の悪さを感じていた愛助。「ええ人なんやろね、学生さんは」と愛助を見つめるスズ子だったが、名前を聞いておきながら“学生さん”呼びをしているあたり、一線を超えないように感情にブレーキしているようにも見える。これまで愛助ほどまっすぐに思いを伝えてくれる若者はいなかった。たとえ、年齢が10歳離れていようと、スズ子は愛助に惹かれ始めていた。