『ブギウギ』黒崎煌代に重なる水上恒司のはにかんだ表情 スズ子の心を満たす“最愛の人”に

 夕飯を愛助と一緒に囲むスズ子はいつもよりはしゃいでいる印象も受ける。一度は歌えない状況に陥りながらも、りつ子(菊地凛子)との合同コンサートで見た六郎の幻に背中を押されて自分を取り戻したスズ子。だが、大切な人の死は乗り越えたように思えても、ふとした瞬間にとてつもない寂しさが襲ってくるもの。そんな中で、六郎と近い年齢の愛助が息災で、目の前にいてくれることだけでもスズ子にとっては嬉しいのではないだろうか。唯一の肉親である梅吉(柳葉敏郎)も遠く離れた香川に行ってしまった今、愛助の存在がスズ子と視聴者の心にぽっかりと空いた心の穴を埋めてくれるような気がした。

 笠置シヅ子さんにとっても、愛助のモデルと思われる吉本穎右さんとの出会いは衝撃的だったようで、自伝『歌う自画像:私のブギウギ傳記』(北斗出版社)の中で「美眉秀麗な貴公子然たるタイプに圧倒されて、ちょっと言葉が出ませんでした」と記している。「ジェームス・スチュアートのように端麗な近代感に溢れていました」とも。そんな風に一目で穎右さんに好感を持ったシズ子さんだったが、のちに年齢を聞いて我に返っている。当時、スズ子さんは29歳で、穎右さんは9歳も年下だった。

 スズ子も同じように愛助の年齢に驚くが、愛助はスズ子の大ファンであるためか、その視線は熱を帯びている。今週のタイトルは「ワテより十も下や」 と分かりやすく、年齢差に阻まれる2人の恋が描かれるのだろう。今はまだ弟のような愛助がスズ子にとって最愛の人となっていく過程を見届けたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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