HiHi Jets 井上瑞稀の奥深い芝居に引き込まれる 『なれの果ての僕ら』はエピローグも必見
「これから3日間、僕はみんなを拘束する」
極限状態で人間はどれだけ“善性”を保てるのか。HiHi Jetsの井上瑞稀が連続ドラマ単独初主演を務めた『なれの果ての僕ら』(テレビ東京)のBlu-ray&DVD BOXが12月6日に発売される。
本作は、2023年7月期にテレビ東京ドラマチューズ!枠で放送された連続ドラマで、原作は内海八重による同名コミック(講談社)。チーフ監督は、映画『女子高生に殺されたい』などで知られる映画監督・城定秀夫が務めた。『ゲキカラドウ』(テレビ東京系)シリーズの柴田啓佑、『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)の的場政行が参加。注目の俳優陣と日本屈指のクリエイターによる、人間の倫理観を問うサスペンスドラマだ。主題歌はHiHi Jetsの「ロベリア」。ロベリアは小さな花をたくさん咲かせるかわいらしい花の名前だが、花言葉は「悪意」。本作を観る上でひとつのキーとなる。
四ノ塚小学校6年2組の同窓会として母校に集まった23人。久々の再会を喜んだのも束の間、彼らを待っていたのは3日間の監禁、そして結果的に13人が死亡するという大事件だった。そんな残虐な事件の首謀者が、夢崎みきお(犬飼貴丈)。命の危機に直面した極限状態でも人間の“善性”は保てるのかという壮絶な“実験”を企てた。序盤からみきおの支配によって、じりじりとクラスメイトの心は追いつめられていく。過去の行いへの復讐や、仲間同士の裏切り、人間不信……そして容赦なく奪われる命。子どもの頃に教わった「One for all, All for one」に揺さぶりをかけてくる。極限状態に置かれた人間の心模様、物語の展開が読めないサスペンスストーリーだ。
井上が演じるのは主人公・真田透。愛称はネズ。第1話の冒頭、大原櫻子が演じるネズの恋人・桐嶋未来との幸せなひとときが映し出されるが、それが幻かのように状況が一変する。小学生時代、親友だったはずのみきおの豹変っぷりに戸惑いながらも、クラスメイトそして恋人を守ろうと奮闘する。果てしない恐怖に襲われ、怒り震え、涙を溜めながら声を荒げるネズは、混乱を極める中でも、揺らぐことのない正義感で勇敢に立ち向かう。
井上は、本作でバラエティ番組やグループ活動からは想像のつかない芝居を見せる。目つきの細やかな変化、目の動きから伝わる心の動き、声色を巧みに操り、胸の奥にネズの持つ正義を刻み込んだ芝居が印象的だ。回を追うごとに感情を爆発させ、特に第5話からはさらにギアを何段もあげたかのように井上の演技力が光る。極限状態の52時間の中でネズはどう変化するのか。俳優・井上瑞稀の芝居の奥深さを知らしめる作品のひとつと言ってもいいだろう。