朝ドラ『ブギウギ』趣里のライバル役になぜ菊地凛子を抜擢? 制作統括にその理由を聞く

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。

 梅丸楽劇団(UGD)の旗揚げ公演から1年、スイングの女王として人気を博すスズ子は、菊地凛子演じるブルースの女王・茨田りつ子と初対面。しかし、「ワテ、『別れのブルース』大好きです」と目を輝かせるスズ子に、りつ子が返したのは「お化粧も下品だけど、素顔は全然誰だかわからなかったわ。お芋さんみたいなお顔じゃない」という言葉。あまりの毒舌に面食らうスズ子と、どこまでもクールなりつ子の温度差に、思わずクスッとしてしまう。

 制作統括の福岡利武は「菊地さんが出演されているいろいろな作品を観て、どこかでご一緒したいなと思っていました」と語り、「茨田りつ子は、スズ子のライバルとなる淡谷のり子さんをモデルとしたキャラクター。いろいろと考えた中で、『死ぬまで歌うぞ』という“強さ”と“儚さ”が表現できる方がいいなと思っていて、最初に台本を読んだときから感覚的にピンとくるものがありました」と菊地の起用理由を明かす。

「『別れのブルース』『雨のブルース』という非常に難しい歌を歌うことになるので、そこはすごく悩まれたところだと思いますが、『ぜひやりたい』とおっしゃっていただけました。スズ子とのピリッとした関係性がありつつも、どことなくチャーミングな部分もある。憎めなさも含めて、2人で仲良くケンカする様子がうまく表現されていて、素晴らしいなと思っています」

 モデルとなる淡谷のり子は、戦後の大スターであり、独特な雰囲気を醸すブルースの女王。「菊地さんは淡谷さんのことをものすごく研究されていて、衣装やメイク、髪型など、こだわりのアイディアをたくさん出してくださいました。淡谷さんに“寄せる”というよりは、より魅力的なりつ子を作るために、『こう見えた方がいいのではないか』『もっとこうした方がいいのではないか』と、お互いに意見を出し合って役を作り上げました」

 そんなりつ子の楽曲が劇中で聞かれたのは、未だはな湯のラジオから流れてきた歌声のみ。福岡は「先々では歌う場面もありますが、歌い方についても非常に研究してディスカッションを重ねましたので、楽しみにしていてください」と呼びかけた。

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