『ブギウギ』“無自覚な優しさ”が罪深い松永 スズ子は義理と恋のどちらを選択するべきか
義理か恋かーースズ子(趣里)は究極の二択を迫られていた。『ブギウギ』(NHK総合)第32話では、演出家の松永(新納慎也)から梅丸楽劇団(UGD)のライバル会社である日宝への移籍話を持ちかけられる。
ダンサーの中山(小栗基裕)と恋人関係にまで発展した秋山(伊原六花)に対して、いまだおでこにキスで止まっているスズ子。松永は本当にスズ子のことが大好きなのか、そんな疑念が残る中、松永から「内緒の話がしたい」と相談を持ちかけられる。そこで告げられたのは日宝への移籍だった。きっと告白とでも思ったのだろうスズ子は思わず「喜んで」と返事をしてしまうが、そんな簡単に決められることではない。日宝はUGDより資金力はあるが、肝心のタレントがいない。そこで“スウィングの女王”として名を馳せているスズ子に白羽の矢が立ったというわけだ。松永はスズ子の手をギュッと握って熱意を伝えるが、UGDに恩がある以上、スズ子も簡単には答えは出せない。
一方で秋山は、中山から「僕の伴侶にならないか」とプロポーズされていた。中山から娘役を勧められたことで悩んでいた秋山。憧れの存在でもある中山からの告白は本来であれば喜ばしいことだが、言葉を伝えられた時の秋山に笑顔は一切なかった。
お互い恋に揺れるスズ子と秋山。そんな中、松永はスズ子を呼び出し日宝の社長・大林林太郎(利重剛)と会わせる。大林はスズ子に対しUGDの1.5倍の給料を出すことを条件に契約書を手渡そうとするが、スズ子はUGDにはお世話になった恩があると決めきれない様子。そこで大林は「何も心配はいらない。そこは会社同士で綺麗に解決する」と心配するスズ子を安心させようとするが、きっと上手くはいかないことは分かりきっている。松永の「僕は君がほしい。アイウォンチュー」という言葉がスズ子を悩ませる。松永のことを決して悪人と言うつもりはないが、どこまでも無自覚なのが罪深い。
そこで「義理と恋はどっちのほうが大事やと思います?」とおでん屋の店主・伝蔵(坂田聡)に相談を持ちかけるスズ子。「バカ野郎、俺はそんなもんどっちも信じねぇ。どっちもまやかしだ」という伝蔵の言葉が一番信頼できる。好きな男から決断を迫られるスズ子と秋山だが、結局は自分が何をしたいのかが大切だ。とはいえ、そんな大切なことを忘れさせてしまうのが義理と恋というもの。伝蔵の言葉はスズ子にどう響いたのだろうか。