『パリピ孔明』Babymixと八尾香澄Pが明かす舞台裏 “一人一衣装”をコンセプトにした理由

今の流行が反映されているところにドラマの良さがある

――チームカラーやキャラクターの個性を活かしたスタイリングでありながら、今のトレンドでもあるY2Kファッションが取り入れられていますよね。ほかに今のトレンドを意識した部分があれば教えてください。

Babymix:2023年の秋冬はいろんなブランドからヒョウ柄が出ています。小林(森山未來)は全身ヒョウ柄の衣装ですが、スタイリングの時にそこは全く考えていませんでした。ファッションの仕事をしていると、そういうふうに自然とシンクロしてくるものがあるんです。Netflixシリーズ『First Love 初恋』のときもありました。自分がいいと思うことをそのままやると、どうしても昭和っぽくなってしまうんですよね。そこは、今シーズンのブランドも使いながら古着も使うというように、ミックスしていかないと今っぽさがなくなってしまう。だから、意識して良いブランドをさりげなく使いつつ、古着もたくさん使って、着物のようなものも取り入れています。これが『パリピ孔明』における「カオス」という部分はあるかもしれません。

――おっしゃる通り、ハイブランドもミックスされているのが印象的でした。カオスな雰囲気を出すことが狙いだったんですね。

Babymix:そうですね。やっぱりドラマの良さって、今の流行が反映されているところにあると思うんです。ポップな要素をちゃんと入れていくことが、ドラマの良さに繋がっていく。映画はもっとコンサバティブに作られているので、ドラマほどの流行がないんですよ。そういう意味で、自分にはドラマの方が合っているのかなと思います。

――改めて、ドラマのスタイリングで意識していることがあれば教えてください

Babymix:スタイリストそれぞれにいろんな考え方があると思いますが、僕としては、作品力は役者さん、ヘアメイク、衣装、美術などひっくるめて、芸術点を獲りに行く“チーム戦”だと思っていて。テレビというものは、そのドラマを知っている視聴者だけが観るわけでなく、何気に点けたら映っていたということもあるわけです。なので、“画力”がないと、ずっと観続けてストーリーを楽しんでもらえるところまで到達しません。画にそれなりの力がないと、観続けることは難しいんですよね。そこが、わざわざ映画館に出向いて作品を観る映画との違いなんです。そういう意味では、テレビの方がなおさら画に力が必要だと思っています。

――話を聞いている限り、いろんな苦労があったことが想像できます。そんなときにBabymixさんはどう乗り越えたのでしょうか?

Babymix:とにかく今回はチームが良かった。時間的なこと、労力的なこと、それから予算的なこと、暑さなど環境的なこと……それに過酷な撮影スケジュールもありました。いろいろあったけれど、それを乗り越えられたのはやっぱりチームが良かったからですね。すごく綺麗な言い方かもしれないけれど、それは間違いないですね。

――エキストラもBabymixさん自身がスタイリングを担当されたそうですね。

八尾:主要キャストの方たちは衣装合わせをしているので、基本的には事前に決めたものをきちんと着ていただく作業になります。でもエキストラの方はその日その場に偶然集まった方たちなので、体型も髪型も事前の想定は出来ない。その人たちをどう見せたらいいかを、衣装だけでなくメイクも含めてBabyさんが統括していました。日常を描いたドラマの場合、エキストラの方に事前にイメージを伝えて私服で来ていただいて、そのまま撮影ということも多いです。でも今回は“パリピ”なので、クラブやフェスのように派手にしたり華やかに作り込まないといけないシーンがありました。一番大変だったのが、第1話のハロウィンのシーンです。撮影自体は夜の時間でしたが、朝から衣装部・メイク部総力戦でエキストラを作り込んで、完成した人たちをマイクロバスで撮影場所まで連れていきました。

Babymix:撮影は2日間ありましたが、エキストラの中にはハロウィンのマスクを被らないといけない人たちもいたんです。せっかく来ていただいたのに顔が隠れてしまうので、2日目も来れる方に1日目はマスクを被っていただくよう頼んだりもしました。エキストラの方たちには本当に頭が上がりません。

――この先の放送では、衣装のどこに注目してドラマを観てほしいですか?

Babymix:スタイリングのどこがかわいいかよりも、チームを意識した衣装になっているところに注目してほしいですね。“あの人とこの人がつながっている”というように、人の温もりが盛り込まれているところは、自分としてもこだわった部分です。

八尾:Babyさんがコンセプトの一つとして話していたのは、「小学生の子どもが観てもわかるキャラクターを作りたい」ということ。この人は敵なのか味方なのかとか、この人はどのチームの人なのかということが視覚の情報でわかりやすくなったら、子どももより楽しめるんじゃないかと。「この人もピンクの服だから、こっちのチームの人なんだ」というように、「小学生にもわかる衣装を目指す」と言っていました。

Babymix:そうなんです。テレビを観ている子どもたちが絵で描けるような衣装にしたかったんですよね。そのコンセプトにみんなが乗っかってくれています。前園ケイジ役の関口メンディーさんにも、「毛皮を着てショートパンツを履いていたら、子どもたちがそういうふうに絵を描いてくれるんじゃないかと思ってこの衣装にした」と伝えました。

■放送情報
『パリピ孔明』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:向井理、上白石萌歌、菅原小春、宮世琉弥、八木莉可子、森崎ウィン、関口メンディー、アヴちゃん(女王蜂)、ELLY、ディーン・フジオカ、森山未來ほか
原作:『パリピ孔明』四葉夕ト(原作)、小川亮(漫画)(講談社『ヤングマガジン』連載)
脚本:根本ノンジ
企画:髙木由佳(フジテレビ)
プロデューサー:八尾香澄
演出:渋江修平ほか
音楽:近谷直之
制作協力:C&Iエンタテインメント
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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