宇野維正の興行ランキング一刀両断!

『ゴジラ-1.0』、『ゴジラ』史上最高のスタートを記録! ただし不安要素も

 11月第1週の動員ランキングは、予想通り『ゴジラ-1.0』が絶好調の滑り出し。初日から3日間で動員64万8600人、興収10億4100万円をあげて初登場1位となった。公開日となった11月3日は祝日ということと、7年前に比べてラージフォーマット上映の比率が増えたこともあって、2016年7月29日、通常の金曜日の公開だった『シン・ゴジラ』と比べて興収比で265%というロケットスタート。オープニング3日間の興収比でも122.8%という成績となった。

 ちなみに1954年、69年前の11月3日に公開された『ゴジラ』第1作は、上映館の前に長蛇の列ができるなど当時社会現象となる大ヒットを記録したが、それでも初日の動員は14〜15万人程度だったとされている。つまり、『ゴジラ-1.0』の初速は興収82.5億円を記録した『シン・ゴジラ』を上回っただけでなく、細部の描写からも明らかなように今作が最も直接的な影響下にある『ゴジラ』第1作をも上回ったということになる。もっとも、当時の日本の人口が現在の約2/3の約8800万人であることも考慮しなくてはいけないだろうが。

 前途洋々のスタートをきった『ゴジラ-1.0』ではあるが、公開1週目のウィークデイに入ってからの成績は、少々落ち着いたものとなっている。そこで思い出されるのは、やはり7年前の『シン・ゴジラ』の興行だ。『シン・ゴジラ』はスタートこそ予測範囲内のものだったが、口コミやソーシャルメディアでの評判の高さもあってウィークデイの落ち幅も少なく、2週目の週末も3週目の週末も初週の80%以上という高推移をキープし続けた。通常の年ならば実写日本映画年間1位の目安となる興収50億円程度のヒット作(現時点で今年興収50億円を超えている実写日本映画は『キングダム3 運命の炎』1作品のみ)と、『シン・ゴジラ』のように興収100億円に迫る大ヒット作との違いは、オープニング成績よりも2週目以降の成績にあると言っていい。

 というわけで、『ゴジラ-1.0』が正月興行の一角に食い込めるかどうかは、2週目の週末が正念場となる。11月17日にはApple TV+でハリウッド版ゴジラの新作テレビシリーズ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』が世界同時配信、12月1日には海外では結果を残せなかった『シン・ゴジラ』とは比べものにならない約1500スクリーンというスケールで『ゴジラ-1.0』の北米公開もスタート。今後も話題には事欠かないが、その前に国内興行は失速する可能性もあり得る情勢となっている。

■公開情報
『ゴジラ-1.0』
全国東宝系にて公開中
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介ほか
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ROBOT
配給:東宝
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