朝ドラ『ブギウギ』草彅剛が要求する“ジャズ”の精神 スズ子と秋山それぞれに恋の予感も

 羽鳥を演じている草彅は、人柄は穏やかだが、楽曲へのこだわりが強く、良い歌声を引き出すまで徹底した姿勢を貫く羽鳥の人物像を見事に演じている。羽鳥から「違う」と言われ思わず謝ってしまったスズ子に、羽鳥は「謝らなくていいんだよ。悪いことしてるわけじゃないんだから」と淡々と述べると、すぐさま「はい、トゥリー、トゥ、ワン、ゼロ」とレッスンに戻る。スズ子の歌声が求めるものと違うことに、羽鳥は憤るわけでも苛立つわけでもない。羽鳥は決して感情的にならない。違うものは違う、だから求める歌声が引き出されるまで、何度でも繰り返し歌わせる、ただそれだけのことなのだ。

 松永(新納慎也)が言っていたように、スズ子は自分で何かをつかむことが求められている。とはいえ初日は、およそ500回出だしだけを歌い続け、何もつかむことはできなかった。

 物語中盤から終盤にかけては、秋山(伊原六花)とスズ子の恋の予感が描かれた。中山(小栗基裕)と松永に惹かれる2人はまだ、その心を恋とは断言していない。けれどこの素直な感情が、秋山のダンスとスズ子の歌を前進させることだろう。

 空き地で歌うスズ子にはまだ「バドジズ」がつかめていない。暗がりで悔しそうに顔を歪めるスズ子が印象に残る。旗揚げ公演初日までに、スズ子は「バドジズ」することができるのか。明日のレッスンが楽しみだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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