岡田将生には“情けない”役がよく似合う 『ゆとりですがなにか』で時代を象徴する俳優に

 「情けない」とはネガティブな言葉である。赤の他人から「情けない」だなんて絶対に言われたくない。けれども誰だって「情けない」ところを持っていて、これをどうにかうまく隠しつつ、いまのこの社会を生きている。

 そんな「情けない」という言葉の当てはまるキャラクターを演じれば天下一の俳優がいる。岡田将生である。

 公開中の映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』での彼の演技は、この路線を極めたものだといって差し支えないだろう。日本映画の市場だけでなく、文字どおりインターナショナル(=国際的)な場でも闘えるはずである。

 いまさら説明は不要かもしれないが『ゆとりですがなにか インターナショナル』とは、2016年に放送されたドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)の劇場版だ。岡田が演じるのは、家業である「坂間酒造」の営業部長を務める坂間正和。頼りがいのある妻(安藤サクラ)をはじめとする家族には恵まれているが、とうの本人は何かと間の抜けた人物だ。

 スクリーンを見上げる観客たちを笑わせているうちはまだいいが、あまりの頼りなさ、情けなさにやきもきさせられる。ドラマのはじまりは、「ゆとり世代」にあたる者たちが現代社会にどう自分をアジャストさせ、サバイブしていくかを描いたものだった。が、この劇場版はさらにその先を描いている。新たな価値観とともに台頭してくる「Z世代」の若者たちとの軋轢をはじめ、どんどん多様化していく世の中。一口に「ゆとり世代」といっても、その特徴にはグラデーションがある。一括りにされていた頃よりも、より「個」がフォーカスされる時代だ。本作も坂間というキャラクターにぐっとフォーカスする。

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