『時をかけるな、恋人たち』マギー&キケロの正体とは? エピソードタイトルの“仕掛け”も

 第1話でちらりと登場した、廻(吉岡里帆)の小学生時代の初恋の記憶。後輩・広瀬(西垣匠)からの告白を寸前で阻止し、動揺を隠しきれないなかで向かった取引先の担当者として、その初恋相手の諸星(ニシダ)が登場する。だいぶ雰囲気が変わっているし関西弁だし。小学生時代は柊木陽太だったのがラランドのニシダになっているという、まさかの展開から幕を開けた10月24日放送の『時をかけるな、恋人たち』(カンテレ・フジテレビ系)第3話。そういえば、諸星はその際、廻に「あの時手紙くれたやろ?」と語りかけているのだが、回想シーンでは渡せなかったものとして描かれていた。ここにもなんらかの時空の歪みのようなものが生じているのだろうか。

 さて、今回描かれる“バッドトラベラー”は、23世紀の公務員である水無瀬チサ(清水くるみ)。公務で訪れた令和でホストの永遠(吉村界人)に一目惚れをした彼女は、違法でタイムボードを入手し、罪になるとわかっていながらも頻繁に令和の夜の街へと通うようになる。未来へ強制送還されそうになる彼女だったが、永遠もホストと客という立場を超えてチサに本気で恋をしていることが発覚。すっかり同情する翔(永山瑛太)に、廻もなんとか辻褄を合わせる方法を探っていく。そんな時、“マギー&キケロ”から一枚のメモが届くのである。

 この“マギー&キケロ”の存在が、今回のエピソードの、ひいては今後のこのドラマの展開を左右することは間違いないだろう。頻繁に未来から令和の時代へとやってくるチサがなんらかの組織の一員ではないかと考える天野(伊藤万理華)たちタイムパトロール隊。どうやら彼らが毎週追いかけている“バッドトラベラー”たちとは別に、宇宙の秩序を壊しかねない危険な指名手配犯や組織が多数存在しているようで、“マギー&キケロ”もそのひとつ。“時空族”や“伝説の恋人”と称され、バッドトラベラーの手助けまでしていると説明される。

 はてその正体はとミステリアスな感じを醸し出しながらも、その名前を見ればどう考えても廻(=メグ)と翔(=カケル)の名をちょっとだけ改変したもの。おそらく今後の2人の姿だと容易に推察できる。今回、未来人と過去人の恋愛がなぜ許されないものなのかとしみじみ考えていた2人の会話のなかで、10年間も廻への恋心を引きずっている翔は「未来人と過去人が愛し合うことで、新しい意味が生まれるんじゃないか」とつぶやく。さらに終盤には廻の任期がまもなく終わる=記憶を消されるというお達しが。これはもう逃避行が始まるフラグ以外のなにものでもないだろう。それならば、第1話で公園の木の陰から廻と翔の姿を見ていたもう一組の廻と翔の辻褄も合うわけだ。

 ところで今回のエピソードに充てられたタイトルは「きみがぼくを見つけた夜」。毎回このドラマの各エピソードには時空を題材にした映画のタイトルをもじったものが充てられており、第1話は『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』が、第2話では『1秒先の彼女』が用いられていた。今回のタイトルの元ネタは、『アバウト・タイム』と同じくレイチェル・マクアダムスが主演した『きみがぼくを見つけた日』。完全に過小評価された作品ではあったが良質なSFラブストーリーであり、奇しくもその日本公開からちょうど14年を迎えた日にこうして掘り返されることになるとは。

■放送情報
火ドラ★イレブン『時をかけるな、恋人たち』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜23:00〜放送
出演:吉岡里帆、永山瑛太、伊藤万理華、西垣匠、田中真琴、夏子、石田剛太、じろう(シソンヌ)
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
監督:山岸聖太、山口淳太
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)
音楽:王舟
主題歌:Chilli Beans.「I like you」(A.S.A.B)
オープニング曲:PEOPLE 1「ドキドキする」(Sony Music Labels)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:www.ktv.jp/tokikake/

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