『ガルパン 最終章』最高峰に到達したアクション作画 第4話は戦車道を通じた成長譚に

 ここで『ガールズ&パンツァー 最終章』のストーリーを振り返っておくと、大洗女子学園のカメさんチームに所属している河嶋桃を隊長に据え、冬季無限軌道杯で優勝すれば、AO入試で大学進学の後押しになるだろうということで始まった。冬季無限軌道杯で大洗女子学園は、第1回でBC自由学園に勝利し、第2回戦で知波単学園も下して進んだ準決勝で、『ガールズ&パンツァー劇場版』に登場した継続高校と対戦することになった。

 ところが、第3話のラストで、雪の中を進む大洗学園のあんこうチームに何かが起こる。そして待ちに待った第4話で、大洗女子学園はこれまでのセオリー、つまりは西住みほという天才的な隊長に率いられたメンバーが、大胆なアイデアで逆境を切り抜け、巧みな操車によって強豪校を撃破していくという展開から、外れていかざるを得なくなる。

 そうなったことで第4話は、戦車道を通じた成長といったドラマを浮かび上がらせる。大洗女子学園だけに限ったものではない。黒森峰女学園で西住まほから隊長を引き継いだ逸見エリカの頑張りや、聖グロリアーナ女学院でダージリンが次の隊長として引き立てるオレンジペコの明晰さが、『ガルパン』で続いていく物語であり、戦車道を嗜む女子たちすべての物語であり、それを観て何かを感じる人たち全員の物語なのだということを意識させる。

 黒森峰で辛い経験をして転校し、戦車道を辞めたはずの女子が過去と向き合い、自分と向かい合って再び歩みはじめる物語から始まって、ここまで来た『ガールズ&パンツァー』はこれからどこに向かうのか。まずは冬季無限軌道杯の決勝の行方が大きく気になるところだろう。第4話のラストで姿を見せたあのキャラクターがどのような役割を果たすのか。戦車道において永く続く因縁に、今度はどのような決着がつくのかを見極めたい。

 その戦いで、どれだけのシーンが描かれるのかにも関心が向かう。対知波単戦がジャングルで、継続高校とは雪原や雪山で戦い、そして黒森峰と聖グロは第二次世界大戦の北アフリカ戦線を思わせる荒地で戦った。ならば決勝は。そこでのアクションは。水島努監督や脚本の吉田玲子のアイデアと、柳野3DCGI監督の絵コンテに上乗せをして描き込む演出ぶりを今は見守るしかない。その結果が、登場したすべてのキャラクターとすべての戦車が、強い印象を残して終わることになるのか、やはり西住みほの決断と成長の物語に帰結するのかも含めて。

 だから待つ。残る2話の完成を。いつまでも。どこまでも。

■公開情報
『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
全国公開中
声の出演:渕上舞、茅野愛衣、尾崎真実、中上育実、井口裕香、福圓美里、高橋美佳子、植田佳奈、菊地美香、吉岡麻耶、桐村まり、中村桜、仙台エリ、森谷里美、井上優佳、大橋歩夕、竹内仁美、中里望、多田このみ、山岡ゆり、秋奈、井澤詩織、山本希望、葉山いくみ、佐倉綾音、椎名へきる、能登麻美子、下地紫野、石上美帆、若山詩音ほか
監督:水島努
脚本:吉田玲子
キャラクター原案:島田フミカネ
キャラクターデザイン・総作画監督:杉本功
考証・スーパーバイザー:鈴木貴昭
キャラクター原案協力:野上武志
ミリタリーワークス:伊藤岳史
プロップデザイン:竹上貴雄、小倉典子、牧内ももこ、鈴木勘太
3D監督:柳野啓一郎
モデリング原案:原田敬至、Arkpilot
3DCGI:STUDIOカチューシャ
色彩設計:原田幸子
美術監督:平栁悟
撮影監督:棚田耕平
編集:吉武将人
音響監督:岩浪美和
音響効果:小山恭正
録音調整:山口貴之
音楽:浜口史郎
アニメーション制作:アクタス
製作:ガールズ&パンツァー最終章製作委員会
配給:ショウゲート
©GIRLS und PANZER Finale Projekt
公式サイト:https://girls-und-panzer-finale.jp/

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