『トクメイ！』主演に朝ドラヒロイン、2度目の『紅白』司会も　“努力の人”橋本環奈の輝き

　橋本環奈を見ていると、「人生何周目なんだろう……」と思う瞬間がある。たとえば、昨年末の『第73回NHK紅白歌合戦』（以下、『紅白歌合戦』）でのこと。橋本は、初司会であるにもかかわらず、「本業？」と思ってしまうほどにどしっと構えた場回しを披露していたのだ。長時間の生放送では、必ず起きるであろうアクシデントも、さらりと対応して何事もなかったかのように笑顔を見せる。「ガハハッ！」と豪快に笑う彼女の姿を見ると、私たち視聴者の心もパッと華やぐのだ。

　そして、本業の役者としての活躍は言わずもがな。今年は、4月期放送の『王様に捧ぐ薬指』（TBS系／以下、『王ささ』）で、地上波連続ドラマ初主演を務めた。同作で橋本が演じたのは、“悪女”と呼ばれるウェディングプランナー・羽田綾華。美人すぎるがゆえに、周囲から妬まれることが多く、“悪女”にならなければ生きていくことができなかった……という葛藤を感じさせる役柄だった。

　近年では、福田雄一監督作品など、コメディに吹っ切った演技を見せることが多かった橋本が、“1000年に1度”と言われるビジュアルを全面に押し出すキャラクターを演じるのはめずらしい。さらに、好感度抜群女優の代表格でもある彼女が、美人であることを盾に毒舌を吐きまくる役柄になりきるのは、「ちょっぴり違和感があるのでは？」と放送前は思っていたのだが、さすがは橋本である。視聴者に、「こういう女の子、近くにいたらちょっと嫌だよね」と感じさせつつも、大嫌いにはなれない程度の絶妙な演技を見せていたのだ。

　春に『王ささ』で新境地を開拓した橋本が、次に挑む連続ドラマは、10月16日スタートの『トクメイ！警視庁特別会計係』（カンテレ・フジテレビ系／以下、『トクメイ！』）。同作は、経費から事件解決の糸口を見つける警察エンターテインメント。お仕事要素あり、考察要素あり、クスッと笑える要素ありで、ドラマファンには刺さるポイントが多い作品になっている。

　橋本が演じるのは、経費削減の“トクメイ”を受けて本庁から派遣された女性警察官・一円（はじめまどか）。どうやら円は、ささいな数字のズレも見逃せず、一度ズレを見つけると気になって仕方がなくなってしまう几帳面な性格らしい。ハキハキとした喋り方に加えて、コメディエンヌな表情も求められる円は、橋本の得意分野とも言える役柄だろう。