『らんまん』とは“つながり=縁”の物語だ 神木隆之介を中心に開花する新たな人間関係

 それからいま一番アツいのは、やはり早川逸馬(宮野真守)との再会だろう。彼は万太郎が上京前に出会った自由民権運動の活動家。万太郎は逸馬から自由に生き、自分の人生は自ら掴み取るものだと教わった。その別れは悲しいものだっただけに、彼の再登場には胸にアツいものが込み上げてくるというものだ。もちろん、万太郎の人生における最大の“つながり=縁”は、妻の寿恵子(浜辺美波)との間にあるものだろう。

 近年の朝ドラを振り返ってみると、『らんまん』ほどこの“つながり=縁”を巧みに描いている作品は少ないのではないだろうか。主人公の人生において超重要な人物が登場したとしても、関わる期間というのは限られている。前作『舞いあがれ!』(NHK総合)でパイロットを目指す舞(福原遥)の恩師となった大河内教官(吉川晃司)は「航空学校編」が終了すると登場しなくなったし、それは航空学をともに学ぶ初恋の相手の柏木(目黒蓮)とも同じだった。2018年から2019年にかけて放送された『まんぷく』(NHk総合)で、不当逮捕された発明家の萬平(長谷川博己)を助けようと奮闘した弁護士の東(菅田将暉)もそうだ。

 当然といえば当然かもしれない。実際、私たちだってどれだけお世話になった人がいたとしても、その接点となる環境が無くなってしまえば基本的に関係は終わるものだ。たまに思い出すくらいだろう。しかし、『らんまん』では人と人とが出会い別れては、何のめぐり合わせなのか、また出会ったりもする。花粉が何かによって運ばれて新たな花を咲かせるように、『らんまん』では万太郎を中心とした“つながり=縁”が、いまあちこちで新たな人間関係を開花させているのだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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