バスケW杯の大熱狂を生んだ『SLAM DUNK』と「Bリーグ」 日本バスケ界の歩みを振り返る
このようにしてバスケに対する国民的な人気が高まってきていたなかで、プロリーグに目を向けると、当時の日本バスケ界は悲惨な状況にあったと言わざるを得ない。
もともと国内の実業団リーグは1967年より存在していた。さらに1992年には、ロサンゼルスオリンピックにNBAのスター選手(マイケル・ジョーダンなど)が揃ったアメリカ代表「ドリームチーム」が出場し、日本国内でも話題となった。そうして、まずNBA人気が生まれ、日本でも高まり始めたプロリーグを求める声に応えるようにして日本のプロリーグが育っていく……はずだった。
本稿では長くなってしまうので詳細は省くが、日本のバスケリーグは“いろいろな事情”があり、「JBL」と「bjリーグ」という2つのリーグが並存する状況になってしまったのだ。この状況に対して国際バスケットボール連盟のFIBAは警告を出し、2014年には日本代表は国際試合が禁止されてしまったほど。
そこで動いたのが、サッカーの国内プロリーグ「Jリーグ」創設に貢献した川淵三郎だった。各リーグの統合に動き、川淵を初代チェアマンとして日本のプロバスケットボールリーグ「Bリーグ」が誕生、2016年に開幕となった。
Bリーグはガバナンスを強化し地方に拠点を置くことを徹底することでプロリーグとしての体裁を整え、その一方で興行的にも積極的なアプローチを行った。それにより、今ではバスケ観戦は1つのレジャーとして一般的なものになってきている。
そして現在。八村塁と渡邊雄太という現役日本人NBA選手が2人も誕生し、河村勇輝のような高校時代から名前が知られるスター選手も活躍している。さらに『THE FIRST SLAM DUNK』は、バスケのルールを全く知らない人たちにも感動を与え、バスケを観戦する楽しさの真髄を世に広めてくれた。
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バスケットボールは“流れのスポーツ”だと言われる。攻守が激しく入れ替わる中で、一度流れを掴めばベネズエラ戦のように一気に逆転、ということも珍しくない。
さて、日本バスケ界には大きな流れがきている。
『THE FIRST SLAM DUNK』は8月31日に終映したが、バスケW杯における男子日本代表の歩みはまだまだ続く。『SLAM DUNK』を超えるような感動と興奮にこれから先出会わせてくれることを、AKATSUKI JAPANにも、そして世のクリエイターたちにも願っている。
参考
※ https://youngjump.jp/real/15/interview/