『復讐の記憶』は老人版『ジョン・ウィック』だ！　テーマカラーの“赤”にも注目

　また、本作の見どころは、韓国の道路の広さを最大限に活かしたカーアクションシーンにもある。特に、道路でも一際目を引く“赤いポルシェ”を使っているため、走行シーンのスピード感が引き立てられ、観る者がアドレナリンを送り込まれるような映像を楽しむことができる。しかし、なぜ復讐のための殺人計画を実行しているのにもかかわらず、“赤色”の目立つ車を彼は選んだのだろうか。

　

　ピルジュとインギュが働く「TGI FRIDAYS」でも、赤と白を基調とした看板や、従業員が身につけているネクタイや店内にも“赤色”が多く使われていた。そして、ピルジュが実行していく復讐計画においても血が多く流れ、敵相手の返り血を浴びる姿が印象的に描かれている。

　ピルジュにしてみれば、人の命を犠牲にしてまで地位を守ろうとした敵相手たちの勲章や功績は、民族の苦しみと絶叫を糧に築き上げ、民族の血を吸い取った証だ。本作における”赤”というテーマカラーは、「復讐」という行為を象徴的に示しながら、ピルジュとインギュの繋がりを表現しているものでもある。ぜひ本作を観る際には、”赤”のテーマカラーにも注目していただきたい。

■公開情報
『復讐の記憶』
シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開中
出演：イ・ソンミン、ナム・ジュヒョク、チョン・マンシク、ユン・ジェムン、ソン・ヨンチャン
監督：イ・イルヒョン
配給：ハーク
2022年／韓国／128分／カラー／スコープサイズ／5.1ch
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